日医ニュース
日医ニュース目次 第1118号(平成20年4月5日)

「新たな死因究明制度等」に関する都道府県医師会担当理事連絡協議会
木下常任理事
医療安全調査委員会の設置の意義を強調

「新たな死因究明制度等」に関する都道府県医師会担当理事連絡協議会/木下常任理事/医療安全調査委員会の設置の意義を強調(写真) 「新たな死因究明制度等」に関する都道府県医師会担当理事連絡協議会が,三月六日,日医会館大講堂で開催された.
 冒頭,唐澤人会長(宝住与一副会長代読)が,「警察ではなく,中立的な第三者機関に届出を行い,そこで死因究明を行う,新たな診療行為に係る死因究明制度の創設は,萎縮医療からの解放を図る第一歩となり,外科,産科等からの医師撤退に歯止めをかけることになると考えている.全国の会員に十分ご理解いただき,不安を取り除いたうえで具体化していきたい」とあいさつした.
 議事に先立ち,四十七都道府県医師会を対象に行った「新しい医療安全調査委員会設置に関するアンケート」の集計結果(回収率一〇〇%)について,事務局が報告.それによると,「制度創設を行うべきである」が十六医師会(三四・〇四%),「今後明らかにしなければならない点はあるが,創設すべきである」が二十七医師会(五七・四五%),「創設すべきではない」が四医師会(八・五一%),「よく分からない」が〇で,多くの医師会が制度創設を望んでいる一方で,まだまだ十分に説明を行っていかなければならない点などが明らかとなった.
 つづいて,担当の木下勝之常任理事(写真左)が,診療行為に係る死因究明制度等をめぐる経過を報告.医師法第二十一条で届出が求められる異状死に,診療関連死が含まれていることが刑事訴追の発端となっていることを問題視し,この流れを変える必要性を訴えた.
 そのための新しい制度のあり方については,厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」で,遺族,弁護士,マスメディア,刑法学者,法務省,警察庁とともに検討してきた結果,第三者機関としての医療安全調査委員会(仮称)に届け出る制度を創設する方向性が固まりつつあることを説明した.
 同常任理事は,委員会から捜査機関に通知を行うのは,故意や重大な過失のある事例,悪質な事例に限定し,捜査機関は委員会から通知された事例だけを対象とすることから,「すべてを免責にすることはできないが,刑事訴追される範囲は当然狭くなる」と制度創設の意義を強調.また,重大な過失かどうかを判断するのは医療の専門家中心の委員会であり,重大な過失を除く,ささいなミスを犯した人に対しては,制裁ではなく,再教育を中心とした“支援型”の行政処分で対応する方向で検討しているとした.
 また,同常任理事は新制度への理解を求めるとともに,「医療安全調査委員会設置法案」(仮称)が本年の通常国会に提出される見通しについても説明を行った.
 その後,会場から意見や質問が多数出され,木下常任理事,西島英利参議院議員,弁護士の畔柳達雄参与が詳細な回答を行った.最後に,木下常任理事が,今後は,いただいたさまざまな意見を十分踏まえたうえで,より良い制度にするよう,今後も精力的に議論を行っていくとして締めくくった.

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