日医ニュース
日医ニュース目次 第1118号(平成20年4月5日)

平成19年度都道府県医師会医療関係者担当理事連絡協議会
看護職員の不足・偏在とその対策についての委員会報告書など説明

平成19年度都道府県医師会医療関係者担当理事連絡協議会/看護職員の不足・偏在とその対策についての委員会報告書など説明(写真) 平成十九年度都道府県医師会医療関係者担当理事連絡協議会が,三月十三日,日医会館小講堂で開催された.
 冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,約二カ月の療養を経て会務に復帰したことを報告.
 看護職員をめぐる状況については,慢性的な不足に拍車をかけた「七対一入院基本料」が,今回の診療報酬改定で見直されたことを評価するとともに,看護職員需給調査への協力など,各都道府県からの後押しに謝意を示した.また,助産師不足解消に向けた取り組みとして,医師会立の助産師養成コースが,群馬,愛知,長崎の三県で開設されることを紹介し,「今後も,看護職員等の養成にかかわるあらゆる環境整備について,厚生労働省に働き掛けを続けていく」と強調した.
 議事では,(一)日医医療関係者対策委員会報告書,(二)日医「看護職員確保対策」潜在看護職員再就業支援モデル事業,(三)看護職員にかかわる最近の動向─について,報告と質疑応答が行われた.
 (一)では,森下立昭医療関係者対策委員会委員長が,同委員会報告書「看護職員の不足・偏在とその対策について」に関して,看護職員の養成所では大学卒業者が大幅に増える一方,准看護師養成所での学生数の著しい減少が看護職員数全体の不足につながっていることなどを指摘.看護職員確保のための具体策として,(1)教員の確保と資質の向上(2)通信教育制度の充実(3)看護職員復職希望者のプログラムの作成(4)男子看護職員志望者の採用促進(5)准看護師養成の充実─を掲げた.
 (二)では,羽生田俊常任理事が,潜在看護職員に対する再就業支援モデル事業の要綱を紹介.モデル事業に参加する十五の県医師会には,五月末(予定)までに,自らが運営する看護職員養成所などを対象として,潜在看護職員の把握とアンケート調査を実施してもらい,その結果を踏まえて,日医が行う再就業希望者への支援について検討すると説明した.
 (三)では,小野太一厚労省医政局看護課看護職員確保対策官が,看護職員確保対策をめぐる状況を報告.看護職員の確保に向けて,参入者を増やす観点から「養成力の確保」「再就業の支援」を柱に,教育・実習の環境整備やハローワークとの連携強化などを行う一方,退職者を減らす観点から「資質の向上」「離職の防止」を柱に,看護基礎教育カリキュラムの改正,病院内保育所等の充実などの施策を進めていくとした.さらに平成二十年度看護職員確保対策予算についても解説した.
 また,井内努同医事課課長補佐が,通知をもとに,医師,看護職員等の医療関係職,事務職員等の間での適切な役割分担についての見解を説明.書類作成やベッドメイキング,院内の物品運搬・補充,患者の検査室等への移送などについて,役割分担の具体例を示し,現在,医師や看護職員が行っている仕事の一部を事務職員や業者に委託することで,医療関係職の負担の軽減が可能だとした.
 質疑応答では,実習先確保の難しさや専任教員の不足,看護職員等養成所の経営の厳しさなど,地方の窮状を訴える意見が相次いだ.この問題に関して,小野対策官が,「予算は,引き続き確保していきたい」と発言した.また,羽生田常任理事は,入学定員について,地域での柔軟な対応を要請した.
 最後に,宝住与一副会長が総括し,閉会した.

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