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第1118号(平成20年4月5日) |
感染症危機管理対策協議会
感染症をめぐる最近の動向等について報告
感染症危機管理対策協議会が,三月五日,日医会館小講堂で開催された.
飯沼雅朗常任理事(写真)の司会により開会.冒頭,唐澤人会長(岩砂和雄副会長代読)は,「昨年,若者の間で大規模な麻しんの流行が見られたが,その原因は十分な免疫を持たない,あるいは免疫力の弱い若者が増えてきていることにある.国民の健康を守る立場から,改めて予防接種の重要性を訴えていきたい」とあいさつした.
つづいて,(一)感染症危機管理対策室長の飯沼常任理事が「感染症対策をめぐる最近の動向」,(二)三宅智厚生労働省健康局結核感染症課長が「感染症をめぐる最近の動向─感染症法の改正,麻しん・風しん対策─」,(三)正林督章厚労省健康局疾病対策課肝炎対策推進室長が「新しい肝炎総合対策」─について,それぞれ報告を行った.
飯沼常任理事は,今年で五年目を迎えた『子ども予防接種週間』について,麻しんの予防接種率の向上に大きく貢献し,高い評価を得ていると発言.また,本年四月に改正される「定期の予防接種実施要領」は,(1)既罹(り)患者への混合ワクチン接種が可能(2)麻しん・風しんについて,第三期(中学一年相当),第四期(高校三年相当)を定期予防接種の対象に新たに追加(3)接種間隔の表示を見直し,同じ曜日に接種が可能(4)予防接種実施規則に規定する期間内に医学的要因により接種できなかった場合でも,その後速やかに接種した場合は定期接種とみなす─など,「画期的な大変革であり,非常に評価している」と述べた.
三宅課長は,新型インフルエンザ対策行動計画における,被害状況の推計や対策ガイドラインについて概説.
今回の感染症法改正では,(1)鳥インフルエンザ(H5N1)を感染症法上,二類感染症に位置付け,入院措置等の法的根拠を整備(2)新型インフルエンザを感染症法および検疫法に新たな感染症類型として位置付け,検疫措置,入院措置等の規定を整備─したことが主なポイントであり,この改正により,これまで以上に強い措置が可能になるとの考えを示した.
麻しんについては,平成二十四年度までに麻しん排除を達成し,その後もその状態を維持することを目標に取り組みを進めていると述べた.
正林室長は,これまでの対策を含め,肝炎ウイルス検査の無料化の拡大,診療体制の整備,都道府県における肝炎診療に関する診療ネットワーク,肝疾患診療に関して医療機関に求められる役割─などについて解説.
また,平成二十年度予算案では,本年四月から始まるインターフェロン治療に対し,異例の医療費助成措置が取られることになり,肝炎対策関連予算が破格の増額になっていると話した.さらに,平成二十年度からの「健康増進法に基づく肝炎ウイルス検査」は,「特定健診」と連携を取りながら実施できるよう準備を進めていると報告.「一人でも多くの国民が肝炎ウイルス検査を受け,早期治療ができるよう,総合的な対策の強化を進めていきたい」と結んだ.
協議では,活発な質疑応答が行われ,最後に,岩砂和雄副会長が総括し,閉会した.
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