日医ニュース
日医ニュース目次 第1118号(平成20年4月5日)

日本医師会市民公開フォーラム
「21世紀のがん対策賢いがん対処法」をテーマに

日本医師会市民公開フォーラム/「21世紀のがん対策賢いがん対処法」をテーマに(写真) 日本医師会市民公開フォーラムが,三月八日,「二十一世紀のがん対策 賢いがん対処法」をテーマに,日医会館大講堂で開催された.
 今村聡常任理事の総合司会で開会.宝住与一副会長は,冒頭のあいさつで,「平成十九年四月にがん対策基本法が施行され,がん対策のいっそうの推進が図られていくことと期待している.国民の皆さんにも医療,医学の正しい知識を習得してもらい,さらに健康な生活を維持して欲しい」と述べた.
 つづいて,三人のパネリストによるパネルディスカッションが行われた.
 土屋了介国立がんセンター中央病院病院長は,「“がん”は,症状が出てからでは手遅れであることが多く,検診での早期発見が望ましい.診療所のかかりつけの医師による定期的なチェックや前回の検診との比較が有効である.診断が確定したら,手術を含め,特殊な治療をがん診療連携拠点病院で行い,治療後の経過観察や緩和医療は,在宅医療を含めてかかりつけの医師に診てもらうという“病診連携”が必要である.平成十八年から各都道府県にがん診療連携拠点病院が設置され,相談支援センターで相談に応じるようになったが,がん対策に求められているのは,人材育成と臨床現場での教育である」と述べた.
 金子昌弘国立がんセンター中央病院内視鏡部長は,診断機器の進歩によって,小さいがんを発見できるようになったが,早期発見のためには検診の受診率を上げることが課題であるとし,自治体主体の五大がん検診(胃・大腸・肺・子宮・乳がん)の受診率は三〇%程度であり,精度の高い検診が有効利用されていない現状を説明.
 「最近では,ピロリ菌の除去,大腸がんのポリープの切除,禁煙指導など,発がん防止策も積極的に行われており,早期のがんであれば苦痛がなく治癒できるので,もっと検診を利用して欲しい」と提言した.
 内田健夫常任理事は開業医の立場から,日本人の死因第一位である“がん”は,まず発生の防止が重要であり,加齢によって発症リスクは増すが,早期発見,早期治療が大事なので,がん検診を受けて欲しいと説明.かかりつけの医師のもとで検診を受け,精密検査,治療が必要になれば,適切な病院,専門医に紹介してもらうのが良いとした.
 また,がん対策として,発見の経過,治療,予後など,情報を把握することが,がんの傾向を知り,研究・対策にもつながることから,がん医療のレベル向上のためにも,「がん登録」への理解と協力を要請した.
 フロアとの質疑応答は,在宅医療の夜間往診,緊急時入院の問題,サプリメントに関する質問など,充実した内容であった.
 参加者は五百四十六名で,二階席まで満席となる盛会であった.
 なお,当日の模様は,四月六日(日)午後六〜七時,NHK教育テレビ「日曜フォーラム」で放映される予定.

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