日医ニュース
日医ニュース目次 第1123号(平成20年6月20日)

私もひとこと

北海道医師会長 長瀬  清

 最近,テレビや新聞等で,医師不足や救急医療について,頻繁に報道されている.
 北海道でも,中核病院で医師が次々と退職する事態が各地で発生し,地域医療が崩壊寸前の状況となり,住民が不安を募らせている.地域医師会としても事態を看過出来ず,会員が自院での診療後に,当該病院の夜間救急に交代で出務している例もある.
 この原因は,絶対的な医師不足と長年にわたる政府の医療費抑制策,平成十六年度からの「新医師臨床研修制度」導入にあると言える.この制度により,研修医が都市部の民間病院に集中し,大学からの医師派遣機能が果たせなくなった影響が大きい.また,医師の地域偏在,医療ニーズの多様化から,勤務医の過重労働による疲弊が社会問題となっており,その解決策が急がれる.そして,女性医師の顕著な増加に対しては,その勤務環境の整備を図っていく必要がある.
 北海道医師会では,平成十九年七月に,勤務環境等改善策の糸口を見出すため,過去四年間に開業した会員を対象に,「開業の動機と開業前の就労に関するアンケート」を実施した.
 本調査では,勤務時の過酷な労働環境がうかがえる一方,開業はしたものの,診療報酬の低さから医業経営の厳しさを実感している,との意見も多かった.
 勤務医が置かれている環境を改善するため,医師会としての対策を一つひとつ実行していきたい.

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