日医ニュース
日医ニュース目次 第1124号(平成20年7月5日)

視点

総合医・総合診療医(仮称)の認定制度創設に向けて

 総合医・総合診療医(仮称)の認定制度について検討してきた第IV次学術推進会議報告書,およびその養成カリキュラムを関連学会等とともに検討してきた第IV次生涯教育推進委員会答申を受け,日医では,「最新の医療情報を熟知して,必要な時には専門医を紹介できる,地域医療,保健,福祉を担う総合的な能力を有する医師」(いわゆる総合医・総合診療医〈仮称〉)を養成するため,認定制度を創設し,学術専門団体として,国民の期待に応える必要があると考えている.
 一方で,「認定制度が,フリーアクセスの制限,人頭割り,定額払い,総枠規制に結び付く可能性があるのではないか」との懸念もあるが,厚生労働省は,「日医の取り組みを見守りつつ,状況に応じて検討する」と断言しており,日医が制度を創設しなければ,厚労省が認定制度を立ち上げることは必至と思われる.厚労省が認定を行った場合には,それこそフリーアクセスの制限,人頭割り,定額払い,総枠規制に結び付く可能性が大である.
 医師の研修,医師の医療水準を支えていくシステムは,行政が関与するものではなく,学術専門団体である日医こそが担うべきであると考えている.
 日医が,国に先駆け,これまでの生涯教育制度を底上げして,認定制度を主導的に創設することこそが,「フリーアクセスの制限,人頭割り,定額払い,総枠規制」に結び付かない唯一の方策であると信じている.
 また,「医師免許さえあれば十分ではないか」という意見もあるが,平成二十一年四月から教員免許更新制が導入されることもあり,現在の国民感情からすると,医師免許更新制の声が上がることも十分予想される.日医は,医師免許更新制には当然反対であるが,そうした更新制論議を無実化するためにも,現在の自己申告制ではなく,学習時間等を明確にし,客観的評価を社会に示す必要があると考えている.
 本制度の創設は,国民の目から見える形での医療の質の担保であり,それにより,一層安心して受診出来るという国民からの要請でもある.今後は,これまでにいただいた意見を踏まえ,会員諸氏には,履修方法も含めて理解いただけるよう,より分かりやすく,具体性をもった認定制度要綱案を作成したいと考えている.
 なお,総合医・総合診療医(仮称)の認定制度の創設については,日医ホームページ等を通じて,適宜,情報提供を行っていく予定なので,参照いただき,意見を賜りたい.

(常任理事 飯沼雅朗)

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