|
第1135号(平成20年12月20日) |
奈良県医師会長 塩見 俊次
産科・小児科医の不足が問題となり,医療崩壊がマスコミでも騒がれるようになった.
つい最近,医師不足などによる医療の崩壊を防ぎ,信頼できる医療体制を確立することを目指し,読売新聞社により医療改革への提言がまとめられた.まず緊急に取り組むべき問題を医師不足対策としているが,単に医師の数を増やせばすむ問題ではない.
奈良県においても,未受診妊婦の搬送先が見付からず死産した事例をきっかけに,産科救急医療体制の不備や勤務医の人員不足,過酷な勤務状況が浮き彫りとなった.
その後,県立奈良医大に総合周産期母子医療センターが開設され,また夜間・休日の一次救急については,産婦人科開業医の協力により,在宅輪番制が整備された.
産科の救急医療問題だけでなく,勤務医の過重労働や訴訟リスク,新医師臨床研修制度など勤務医を取り巻く厳しい状況については,かねてより勤務医部会を中心に議論し,さまざまな提言を行ってきた.
今や奈良県医師会員の半数は勤務医である.医師の偏在等により地域医療が崩壊し始めている状況のなかで,開業医が,勤務医が,と区別している場合ではない.
それぞれの役割分担を果たし,協力体制を整え,医療関係者がうまく連携を取りながら団結して対応していくことが重要であると考える.
|