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第1137号(平成21年1月20日) |
平成20年12月17日
二〇〇九年度予算政府案閣議決定に向けて日医の見解を公表
中川俊男常任理事は,二〇〇九年度予算政府案閣議決定に向けて,日医の見解を明らかにした.
同常任理事は,来年度(二〇〇九年度)予算で,重要課題推進枠として三千三百億円を確保したことには一定の評価を示し,社会保障費への優先的な充当を強く要望するとしながらも,これが社会保障費二千二百億円抑制撤回の代わりになるものではないと指摘した.
また,厚生労働省が,予算概算要求で,救急・小児科・産科および勤務医対策を重視している点についても評価するとしたが,一部の医療機関への資源配分では,特に地方の医療崩壊を根源的に食い止めることはできないとの考えを示した.
政府が昨年十二月十二日に打ち出した「生活防衛のための緊急対策」で,経済緊急対応予備費約一兆円が計上されていることにも言及し,予備費についてシーリングを破棄する方向であれば,政府は社会保障費についても年二千二百億円の抑制を見直すべきである.シーリングにこだわって,国民の健康,安心を踏みにじるべきではないと政府に理解を求めた.
社会保障費抑制財源については,現時点の報道では,年金特別会計の特別保健福祉事業資金,および一般財源化される道路特定財源を活用して約二千億円を捻出し,社会保障費としての抑制額は,後発医薬品の使用促進による二百億円程度となる見通しであると説明.そのうえで,特別保健福祉事業資金の千四百億円は単年度の財源であり,道路特定財源の六百億円も必ずしも恒久的な財源とは言えない.また,来年度の社会保障費削減額は,二百億円にとどまることになり,診療報酬改定がある再来年度(二〇一〇年度)の予算編成で,前年度未達成分の二千億円と当年度(二〇一〇年度)予算の削減額二千二百億円を合算し,四千二百億円規模の社会保障費削減を迫られることになりかねない,との強い警戒感を示した.
同常任理事は,実質的な対応による社会保障費削減の形骸化では本質的な解決にならないことを強く訴え,「閣議決定までには,まだ時間が残されている.改めて社会保障費の年二千二百億円の機械的削減の撤回を求める」と,これまでの主張を述べた. |