第1160号（平成22年1月5日）

12月16日
一部月刊誌の報道に対して抗議

　宝住与一副会長は，雑誌『WEDGE』二〇〇九年十二月号「医師会が築いた医療の闇 メスを入れるのは今」の記事について，以下の点を挙げ，事実誤認も甚だしく，当会の名誉を著しく傷つけるとして厳しく抗議した．
　また，記事の内容に対して，十二月二日付で同副会長名により，以下の内容の抗議文を送付し，謝罪と修正記事の発表を求めたことを公表した．
　（一）歯科の記事内容に対して「医師会」とのタイトルをつけており当会の名誉を著しく傷つけている
　記事の大半は歯科診療についてであり，医科診療と歯科診療を混同している．今回の記事は，不見識を疑わざるを得ない．
　
　（二）日本医師会は情報公開，IT化を推進している組織である
　日医は，平成十二年に「診療情報の提供に関する指針」を作成し，平成十三年には「日医IT化宣言」を発表，医療分野の情報化を積極的に推進している．
　今般，何ら取材もなく，医療情報が不透明で闇に葬られているかのような記事を掲載したことは，極めて遺憾である．

　（三）日本医師会は，公益法人制度改革にむけ着実に準備を進めている
　日医は現在，公益社団法人への移行を目指し準備を進めており，財務的要件は十分満たしている．にもかかわらず同誌は，公益法人制度改革の意味を十分理解せず，書籍の引用のみから，公益法人への認定が簡単ではなく，医師会が崖っぷちにあると断じ，日医の存続が危ういかのように論じている．当会に甚大なる被害を与えかねない．
　この抗議文に対し，平成二十一年十二月九日に同誌編集長名で回答が送付された．
　内容を要約すると以下のとおり．
　（一）地道な取材を重ねたうえで真実と確認した事実に基づいて当該記事を作成，公表した．
　（二）日本医師会の社会的評価を殊更に低下させるような記述であるとは考えていない．
　（三）当該記事に基づく報道が日本医師会の名誉を侵害するものであることを前提とした日本医師会の要望には応諾させていただくことは出来かねる．
　同誌社の回答に対し，同副会長は，地道な取材をされているとは考えにくい内容と批判．
　その理由として，第一に，少なくとも医科においては，レセプトからカルテを作ることはない．第二に，審査支払機関の審査を「ずさん」なものとしているが，審査は法律の下に厳正に行われている─等を挙げた．
　今回の記事に対して同副会長は，「医科と歯科の区別も理解しないまま，筆者の思い込みによる記事を掲載したものである．しかも，当会からの抗議に対し，雑誌編集部は，地道な取材のうえ，記事を作成，公表していると，開き直りともとれる回答をしてきた．改めて，厳重に抗議するとともに，猛省を促す」と述べ，会見を結んだ．