日医ニュース
日医ニュース目次 第1168号(平成22年5月5日)

原中会長
民主党国民生活研究会で日医の医療政策を説明

原中会長/民主党国民生活研究会で日医の医療政策を説明(写真) 原中勝征会長は四月十四日,今夏の参議院議員選挙のマニフェスト作成に向けて協議を行っている民主党の国民生活研究会の第二回総会(会長:中野寛成衆議院議員)に招かれ,講演を行った.
 会議は平野達男事務局長(民主党参議院議員)の司会で開会.引き続き,中野会長が,「本日は日本の医療の根幹を学ばさせていただきたいと考えているので,率直なご意見をお聞かせ願いたい」とあいさつした後,原中会長が,日医の医療政策について説明を行った.
 原中会長は,まず,今日の医療崩壊の最大の要因は,小泉政権時代に始められた社会保障費の抑制政策にあると指摘.「十兆円も税収が落ち込むなかで,財政的には厳しいかもしれないが,このままでは医療機関の経営は厳しくなるばかりだ」として,医療費全体の引き上げに対する協力を求めた.
 医療費財源の確保策に関しては,現行の医療費自己負担の三割は重すぎ,これでは社会保障とは言えないとして,その引き下げを要求.それを補う方法については,企業負担分を中心に保険料を引き上げることを提案していると説明した.
 政権交代が実現したことについては,「政治家主導による政策の実現に期待している」と述べ,現政権に対する期待感を示す一方で,不安感もあると指摘.その例として,本年三月に設置された行政刷新会議の規制・制度改革分科会のメンバーを挙げ,「衆議院議員選挙のマニフェストづくりに参加した際に,鳩山由紀夫総理は,私に現場の意見を聞かせて欲しいと言っていた.しかし分科会のメンバーを見ると,医師が入っていないばかりか,旧政権下の規制改革会議のメンバーが含まれている」と指摘.「今回のマニフェスト作成の際には,小泉政権時代の考え方には決して戻らないで欲しい」と強調した.
 また,今日の医療を取り巻く問題について,日医と民主党の間で協議する場を設ける考えも示した.
 引き続き行われた意見交換では,ナースプラクティショナー(NP)や医師の偏在に対する日医の考えについて質問が出された.
 これに対して,原中会長は,NPに関しては,「医師が不足しているからと言って,新たな資格の導入を考えるべきではない.むしろ,現行の保健師助産師看護師法のもとで,看護師が行える仕事の範囲をいかに広げることが出来るのかを考えるべきだ」と主張.また,医師の偏在の問題に関しては,フランスの例なども紹介しながら,早急に検討する必要があるとの考えを示した.
 そのほか,出席議員からは,「医師会には政策提言集団になって欲しい」「精神医療への理解を深めて欲しい」「将来の適正な医師数を示して欲しい」など日医に対する多くの要望が出された.

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