日医ニュース
日医ニュース目次 第1174号(平成22年8月5日)

日医定例記者会見

7月14日
医師数増加に関する日医の見解─医学部新設に改めて反対

日医定例記者会見/7月14日/医師数増加に関する日医の見解─医学部新設に改めて反対(写真) 中川俊男副会長は,「医師数増加」に関する日医の見解を,改めて説明した.
 初めに,これまでの日医の見解を時系列的に整理して説明.本年二月二十四日,医学部の新設をもって,医師数の増加を図ることに反対との意見を表明.また,五月七日には,原中勝征会長が,日本記者クラブの講演で,明確に反対の姿勢を示し,さらに,六月三十日の定例記者会見でも,医学部新設に反対意見を表明したうえで,医師偏在の解消に向けた仕組みを検討する意向を示している.
 同副会長は,「医学部入学定員の推移」について,医学部入学定員は二〇〇七年度を基準とすると二〇一〇年度には千二百二十一人増加しており,新設医学部の定員数を仮に百人とすると,既存医学部で増加した千二百二十一人は,約十二大学分に相当するとした.そして,今後の医師数の見通しを粗い計算として示した.
 それによると,今後,二〇二五年ごろまでは,医療施設・介護老人保健施設の従事医師数が年一%増加すると仮定して,既に決まっている医学部定員増加分の医師数を卒業年次以降,上乗せし,さらに今後十年(二〇一九年度入学生まで),医学部定員が現状(二〇一〇年度八千八百四十六人)と同水準であるとすると,二〇二五年度には医師数は三三・九万人になると推計されたとした(図1)
 一方で,人口は,二〇〇七年の一億二千七百七十七万人をピークに減少し,二〇二五年は一億千九百二十七万人と見込まれる.二〇二五年に医師数が三三・九万人になった時,日本の人口千人当たり医師数は二・八人になると見込まれ,これは現在のG7平均の二・九人に近い水準であるとしている.
 これらから,同副会長は,改めて「医学部新設による医師数の増加」について,「既存医学部における現在の定員数(二〇一〇年度八千八百四十六人)を当面維持し,人口減少等を踏まえて,医師数の在り方を検討すべきである.そのため,厚生労働省に医師数の需給見通しを,継続的に分析,公開することを求めたい」との見解を述べた.
 さらに,「医師の偏在解消」に向けて,医師養成数の増員のみならず,地域枠の拡大による医学部増員のさらなる拡大を提案しつつ,一定の制約をもたせた仕組みについても検討していきたいとしている.

日医定例記者会見/7月14日/医師数増加に関する日医の見解─医学部新設に改めて反対(図)

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