日医ニュース
日医ニュース目次 第1175号(平成22年8月20日)

第6回男女共同参画フォーラム
「男女共同参画のための意識改革」をメインテーマに

第6回男女共同参画フォーラム/「男女共同参画のための意識改革」をメインテーマに(写真) 第六回男女共同参画フォーラムが七月二十四日,鹿児島市内で開催された.今年度は,医師だけでなく,医療関係者や市民にも参加を呼び掛けたこともあり,当日は五百名を超える参加者が会場に集まった.
 冒頭あいさつした原中勝征会長は,少子高齢社会における女性の役割の重要性を強調するとともに,「今回のフォーラムが,男女共同社会実現のための新たな第一歩になればよい」として,フォーラムの成果に期待を寄せた.
 基調講演「我が国における男女共同参画」では,岡島敦子内閣府男女共同参画局長が,女性の参画指数の国際比較や「指導的地位」等に占める女性の割合等を示して,日本における女性の社会進出の遅れを指摘.その原因としては,(1)固定的役割分担意識がいまだに根強い(2)男性も含め,あらゆる人にとって男女共同参画に対する重要性の認識が広まっていない(3)制度改革を進める強力なリーダーシップが不足している(4)保育所の整備など,制度の整備が女性の年齢階層別労働力率(M字カーブ)問題の解消や長時間労働の抑制につながっていない─などが考えられるとした.
 そのうえで,岡島局長は,「第三次男女共同参画基本計画」を今年度中に策定するなど,政府の取り組みを説明し,今後は,男女が共に働くことが当たり前と思われるよう,国民の意識や社会構造を変える必要があるとした.
 報告では,まず,中川やよい前男女共同参画委員会委員長が,平成二十・二十一年度の男女共同参画委員会が取りまとめた答申内容を概説.また,保坂シゲリ常任理事は,「男女共同参画やワークバランスについての講義の医学部教育カリキュラムへの導入促進」「全国の都道府県医師会の女性医師支援事業のシンボルマーク作成」など,平成二十二年度の新規事業を中心に,日本医師会女性医師支援センター事業の説明を行った.
 シンポジウム「男女共同参画のための意識改革」では,五人のシンポジストがそれぞれの立場で講演した.
 谷有貴氏(鹿児島大医学部六年生)は,育児をしながら学生生活を送った経験を踏まえ,「学生時代から,(1)社会に育ててもらっているという意識を持つこと(2)長く働き続けるために,何がベストかを考えること(3)自分の中に明確なビジョンを持つこと(4)周囲への感謝を忘れないこと―が重要になる」と述べた.
 池田哉鹿児島県医師会長は,女性医師が増え続ける今こそ,男性医師の意識改革が必要だと指摘.その実現のため,男性医師には,「女性医師との考え方や感じ方の違いを自己確認する」「女性の主張や女性から期待されていることを仕事の面や家庭の領域などで,もっと深く知る」ことが求められているとした.
 泉良平富山市民病院長は,医療の質を保つために,病院長・病院管理者は,女性医師の能力を活用出来るような労働環境を保持しなければならないと強調.その方策としては,「女性の視点の導入・管理職への女性医師の登用」「男性・管理職の理解(産休・育児休業)と意識改革」「短時間正社員制度(育児・介護・病後)などのシステムの理解と導入」等が考えられるとした.
 岩松マミ南日本新聞社編集委員兼論説委員会委員は,医療分野における男女共同参画を進める方策として,複数主治医制の導入促進による過重労働,長時間勤務の解消を提案.また,出産・育児を女性医師一人の問題として考えず,社会の問題としてとらえることが必要との考えを示した.
 白鳥敬子東京女子医大病院長は,女性医師には出産・子育てなどペースダウンを余儀なくされる期間もあるが,その間にも医師を志した原点を忘れず,自らの道を開拓する気概を持つことが重要だと指摘.「女性医師には,プロフェッショナルとしての自信と自覚と誇りをもって医療に取り組んで欲しい」と述べた.
 フロアを交えた総合討論の後,田村博子男女共同参画委員会委員が,社会基盤の整備と施策の実現のために,すべての人々の意識改革を求めて行動していくことを宣言した「日本医師会第六回男女共同参画フォーラム宣言(案)」を読み上げ,満場一致で採択された.
 その後,次期担当医師会の坂本哲也秋田県医師会副会長のあいさつにつづいて,羽生田俊副会長が,「男女共同参画が当たり前と思える社会の実現に向けて,引き続き努力していくので,協力願いたい」と閉会のあいさつを行い,フォーラムは終了となった.

第6回男女共同参画フォーラム/「男女共同参画のための意識改革」をメインテーマに(写真)

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