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第1177号(平成22年9月20日) |
中医協総会(8月25日)
ドラッグ・ラグ解消策を了承
中医協総会が八月二十五日,厚生労働省で開催され,厚労省事務局が提案したドラッグ・ラグの解消策を了承することになった.
ドラッグ・ラグの解消について,診療側は抗がん剤を例に挙げ,その早期の解決を強く要望.その方策として,いわゆる「五十五年通知」の適用の拡大を求めていたが,「五十五年通知」は再審査期間を終了した医薬品の適応外使用に限られており,再審査期間は医薬品によっても異なるが約八年かかるため,七月二十八日に開かれた総会で,嘉山孝正委員は「新たな解決策を中医協で議論すべき」と主張していた.
これを受けて,厚労省事務局が今回提出した案は,「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で,有効性・安全性のエビデンスが十分あり,医療上の必要性が高く,公知申請に該当すると判断された適応外薬(臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく,承認申請を行っても差し支えないとされた医薬品)は,薬事・食品衛生審議会(薬食審)による事前評価終了時に保険適用を認めるというものである.
議論では,嘉山委員が,「この案では,ドラッグ・ラグの問題の解消にはつながらない」として,未承認薬も公知申請の対象とするよう要望.
これに対して,支払側は「未承認薬を公知申請の対象にするか否かは薬事法上の問題であり,中医協の役割を超えている」として難色を示し,遠藤久夫会長も同調したことから,適応外薬に関する今回の提案は了承することとし,未承認薬の問題に関しては,本年四月の診療報酬の改定時に導入された「新薬創出・適応外解消等促進加算」等の影響を見ながら引き続き議論していくことになった.
今回の案が了承されたことにより,八月三日の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が可能と判断された五成分については,二十六日及び三十日に開催された薬食審の事前評価で了承後,三十日から保険適用が認められることになった.
その他,当日は,今後の議論の進め方についても協議が行われた.診療・支払両側からは,それぞれの委員連名による意見が提出され,診療側は,「診療報酬体系のあり方の本質に関わる事項」(技術とモノの評価の分離など),「診療報酬・介護報酬の同時改定に関連する事項」(医療保険と介護保険の給付対象の整理など)を優先的に議論することを求めた.
遠藤会長からは,次回の総会で次期診療報酬改定に向けて議論すべき優先順位を決定したいとの意向が示されたことから,厚労省事務局が今回の議論を踏まえたスケジュール案を,次回の総会に提出することになった.
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