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第1180号(平成22年11月5日) |
第123回日本医師会臨時代議員会
政治に左右されない国民のための強固な医師会を目指す
第123回日本医師会臨時代議員会が10月24日,日医会館大講堂で開催された.
当日は,一般会計決算の件など,四議案の審議が行われ,可決成立したほか,代議員から出された様々な質問・要望に対して,執行部から回答を行った(別記事参照1,2,詳細は『日医雑誌』12月号別冊参照).
午前九時三十分,石川育成代議員会議長の開会宣言,あいさつの後,議席の指定,定足数の確認,議事録署名人二名の指名と議事運営委員会委員八名の紹介が行われた.
次に,原中勝征会長が別掲(別記事参照)のとおり,所信を表明.つづいて,横倉義武副会長が平成二十二年四月以降の会務概要を報告し,議事に移った.
まず,第一号議案「平成二十一年度日本医師会一般会計決算の件」,第二号議案「平成二十一年度医賠責特約保険事業特別会計決算の件」,第三号議案「平成二十一年度治験促進センター事業特別会計決算の件」,第四号議案「平成二十一年度女性医師支援センター事業特別会計決算の件」が一括上程され,羽生田俊副会長が提案理由を説明.その後,三宅直樹財務委員長より,十月二十三日に開催された財務委員会での審議結果の報告がなされ,いずれも賛成多数で可決した.
その後,代表質問と個人質問に移った.
代表質問
(一)医師負担軽減のための医療メディエーター養成とADRについて
堂前洋一郎代議員(関東甲信越ブロック)の医師負担軽減のための医療メディエーター養成と裁判外紛争解決(ADR)についての質問には,羽生田副会長が,日医は,医療メディエーターについて検討する必要性は認識しているとし,今後,医療提供者と患者・家族との行き違いを修整し,相互の対話を促進する役割を担う人材の育成カリキュラムを,日医医療安全推進者養成講座のなかに設けることも選択肢の一つとするなど,今後の検討課題としたいと述べた.
医療ADRについては,医療全般をめぐる紛争解決の一手段として活用されることに期待しているとする一方,日医主導のADRに関しては,各都道府県・郡市区医師会の「診療に関する相談窓口」や「日医医賠責保険」がすでに機能していることから,今後は,会内の「患者の安全確保対策室」や「医療安全対策委員会」等で,医療メディエーターも含め議論を進めていく意向を示した.
(二)指導大綱・監査要綱の見直しについて
森藤忠夫代議員(中国四国ブロック)からの指導大綱・監査要綱の見直しについての質問には,原中会長が回答した.
原中会長は,現在の指導・監査が経済的理由から行われていることは明白であるとしたうえで,現行の指導大綱・監査要綱については,局長通達によって施行されており,都道府県医師会と社会保険事務局が相談して,その地域独自の運用をしてきたが,その後,地方厚生局にその業務が移管されたため,官僚が自らの権力を誇示する方向にあると危惧を表明.
しかし,九月二十五日に指導監査に関連して,厚労省の職員が収賄容疑で逮捕されたことを契機として,藤村修厚労副大臣と岡本充功厚労政務官が中心となって,今回の事件を検証する等,再発防止策を検討するためのチームが設置され,その見直しを行う方向で検討が進められているとし,「これを機会に経済ではなく,医療という観点からの指導大綱・監査要綱に切り替えられるよう働き掛けていきたい」と述べた.
(三)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略と日医の対応について
畑俊一代議員(北海道ブロック)のライフ・イノベーションによる健康大国戦略と日医の対応を問う質問に対し,中川俊男副会長は,医療,介護は,需要額は大きいが,生産誘発係数は製造業等を下回るとして,「医療,介護に経済成長のけん引産業としての役割を担わせることは間違っている.それを期待した途端,医療,介護は『営利産業化』へ突き進むことになる」と断言.「株式会社が『医療ツーリズム』等の医療周辺産業に参入すれば,さらに医療本体への進出を狙うが,診療報酬では配当原資を得ることは出来ないため,混合診療の全面解禁,自由診療市場の拡大に向けて政治を含めた大きな力が働くことは明白であり,その結果,国民医療に格差をもたらすことになる」と強調し,今後も日医として,診療報酬の全体的な底上げを徹底して求めるとともに,医療の営利産業化を断固阻止する決意を示した.
(四)在宅医療における死体検案の意義について
細田光藏代議員(近畿ブロック)の在宅医療における死体検案の意義についての質問には,横倉副会長が回答した.
同副会長は,在宅医療の推進や単身世帯の増加に伴う孤独死の増加により,在宅死亡者は増えることが見込まれるため,在宅医療推進の環境整備として,その死亡診断・死体検案の各種問題点の整理,解決が重要との認識を示した.
また,孤独死のように異状死の疑いがある場合には,警察の要請により,近隣の医師や警察医,警察協力医が死体検案を行うが,その労力に比して,現状の報酬や処遇が正当なものとは言えないと主張.
今後は,日医として,日本警察医会との連携,警察との密接な意見交換を行い,処遇改善や死亡時画像診断(Ai)の活用等,医師が死体検案に安心して対応出来る体制づくりに取り組むとともに,国への予算要望も働き掛けていく方針を示した.
(五)地域特性に応じた施設基準等の弾力的運用について
小松英昭代議員(東京ブロック)の地域特性に応じた施設基準等の弾力的運用に関する質問には,横倉副会長が回答し,診療報酬や介護報酬上における人員配置,面積等施設基準の地域特性に見合った弾力的な運用の必要性に理解を示した.
そのうえで,医療法について,日医では,特に医師の人員配置について議論を重ねてきたことを強調.
へき地など,現在設けられている特例の充実を求めるとともに,診療報酬への悪影響や勤務医の負担増を回避しながら,基準の見直しを検討し,政府の審議会など公の場でも,機会を見ながら意見を述べていくとした.
また,次期医療法改正も見据えつつ,会内の「地域医療対策委員会」と「病院委員会」における検討を踏まえ,執行部として対応していくとした.
(六)日医による医療連携推進のための方策について
合馬紘代議員(九州ブロック)の日医による医療連携推進のための方策を問う質問には,羽生田副会長が回答.
同副会長は,地域連携を,かかりつけ医機能を中心に据えて推進することこそが,地域医療を崩壊から救い,再生につなぐ方策であるとし,「再来年の診療報酬と介護報酬の同時改定,高齢者医療制度の見直しに向け,医療と介護全体の底上げが最重要課題であると考えている」との姿勢を示した.
このほか,二〇一三年度からの第二期「四疾病五事業」の医療計画や,地域医療再生基金,地域連携クリティカルパスなどについても,医師会が中心となって推進すべきだとし,厚労省に働き掛けていることなどを紹介した.
(七)新しい高齢者のための医療制度についての日医案について
柵木充明代議員(中部ブロック)からの,新しい高齢者医療制度の日医案についての質問には,中川副会長が回答した.
同副会長は,新執行部で検討する過程で,日本の国民皆保険制度を,より強い,持続性のある制度にするためには,若者も含めた全世代の医療保険制度を一体的に改革し,再構築する必要があるとの結論に至ったとし,『日本医師会 国民の安心を約束する医療保険制度(仮称)』を十一月早々に発表する予定である」と述べた.
また同案の内容に関しては,これまでの高齢者の医療を手厚くするという方針が貫かれているとし,「すべての国民が,同じ医療を受けられる制度」「すべての国民が,支払能力に応じて公平な負担をする制度」を基本理念として段階的に改革を進め,最終的には二○二五年以降に,公的医療保険制度の全国一本化を目指すとした.
個人質問
(一)受診抑制への対応について
中田康信代議員(北海道)の受診抑制への対応についての質問に対しては,葉梨之紀常任理事が回答.
同常任理事は,「経済的事情により,医療機関に行くことが出来ない状況は痛ましく,決してあってはならないことであり,この影響が最も大きいのは低所得者と高齢者である」として,日医は,すべての国民が同じ医療を受けられる制度を主張していることを説明.
そのうえで,患者一部負担割合については,「所得格差による受診抑制が生じないよう,これまでほぼ一貫して,一般は二割,高齢者は一割以下に,そして中学校卒業までの小児は無料にすべきであると主張してきた」と述べ,その財源としては,公費での対応を求めているとした.
さらに,日医は,医療の現場を見据えながら,国のあるべき医療保険制度をつくるために全力を尽くしていくとして,都道府県・郡市区医師会の更なる協力を求めた.
(二)保険医療機関,保険医の指導について
高橋克子代議員(宮城県)の保険医療機関,保険医の指導についての質問に,鈴木邦彦常任理事は,まず,指導監査部門を充実強化する政策のアイデアが提案された過日の医療政策コンテストに関して,厚労省に対して直接遺憾の意を伝えるとともに,現行の指導大綱・監査要綱の見直しを協議することについても合意が出来ていると説明.日医としては,各種指導を本来の教育的なものに戻すべく努力していくとした.
また,監査後の行政上の措置の見直しに当たっては,都道府県医師会からの意見等を踏まえたうえで,法制化がよいのかも含めて,今後検討していきたいとした.
さらに,保険診療に関する教育等については,医療保険制度の概要や保険診療の基礎的なことに関して,学部での講義や卒後臨床研修のなかで学ぶことが出来るよう,日医と全国医学部長・病院長会議との懇談会などを通じて働き掛けて行きたいとの考えを示した.
(三)再び,医療ツーリズムと特区構想について
西田芳矢代議員(兵庫県)の再び,医療ツーリズムと特区構想についての質問に対して,石井正三常任理事は,政府の新成長戦略として掲げられている国際医療交流や特区構想は,ビジネス優先に偏った極めて狭い視点から発想されている所に大きな問題があるとして,日医として反対の姿勢を改めて主張した.
また,「医療の国際化」については,本会の「国際保健委員会」において,多面的な検討が行われていることにも言及.「医療ツーリズム」という一分野に偏った視点から全体の制度を歪めていくのは,これまで築き上げられてきた日本の医療制度を,崩壊に導くことにほかならないとして,これを,国民を含めた共通認識とするよう努めたいとした.
(四)診療報酬改定の方向性について
次期診療報酬改定の方向性とそれに向けた日医の対応を問う松家治道代議員(北海道)の質問には,高杉敬久常任理事が回答した.
同常任理事は,二〇一二年の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて,社会保険診療報酬検討委員会の下に,「医療と介護の同時改定に向けたプロジェクト委員会」と「基本診療料のあり方に関するプロジェクト委員会」を設置したことを報告.
そのうえで,次期改定では,中小病院や診療所にも,しっかり配分させるため,中医協を始め,あらゆる場で主張するとした.
さらに,中長期ビジョンを見据えた医療政策を立案し,政府与党始め,野党及び関係各所と十分な話し合いをしていくとともに,エビデンスに基づいた説明を丹念に繰り返し実施していく考えを示した.
(五)危惧される医師はずしの介護保険制度改正について
八木幸夫代議員(鹿児島県)から,現在進められている介護保険制度の見直しでは,医師はずしが進められているとの指摘があったことに対しては,三上裕司常任理事が回答した.
同常任理事は,まず,介護予防事業の実施者法改正に至る経緯を説明したうえで,その施行に当たっては,効率的に実施している地域へ悪影響が出ることのないよう,従来の方法によって対象者を把握しても問題がないということの言質を厚労省からとっていると説明した.
お泊まりデイサービスについては,その創設に反対する意向を示したうえで,レスパイトケアを拡充するのであれば,むしろ「短期入所サービス」や「小規模多機能型居宅介護」の基準等を見直し,有床診療所等の活用により,必要な時に緊急受け入れが可能になるような体制整備を行うことが先決だとした.
また,介護福祉士等の医行為については,独占業務を認める新たな「資格」の創設には断固反対していく考えを示すとともに,訪問看護ステーションの一人開業についても,訪問看護サービス整備促進に負の影響を与えかねないとして,反対の立場であることを強調した.
(六)公益法人制度改革における母体保護法指定医師について
母体保護法指定医師に関する大塚明廣代議員(徳島県)の質問には,今村定臣常任理事が,会内に設置した「母体保護法指定医師の指定権に関する検討小委員会」で,従来どおり都道府県医師会が母体保護法指定医師の指定権限を保持すべきとの方向で議論を進めていることを報告.日医としても,これらの意見を踏まえて,与野党の国会議員に働き掛けるとともに,関係省庁と粘り強く交渉しており,今後も全力で対応していくとした.
しかし,交渉に当たっては,「一般社団法人」に指定権限を付与することについて,関係省庁は極めて厳しいスタンスを変えていないことから,法改正までの暫定措置として,引き続き,都道府県医師会に指定権を残すというような交渉も必要との考えを示した.
さらに,この問題に関しては,日本産婦人科医会とも密接な連携を図っているとし,両者の間に考えの齟齬(そご)はないことを強調した.
(七)日医広報のあり方について(医療推進協議会の今後)
久山元代議員(京都府)の日医広報のあり方について(医療推進協議会の今後)の質問に対して,石川広己常任理事は,京都府での「国民医療推進協議会」の開催に謝意を述べたうえで,本協議会が国民と共に国民医療の向上に向けて活動するための重要な組織であるとの認識を示し,協議会の実際の活動は,地域に密着した活動も重要であることから,日医でも今後,必要に応じて,時機を逸せず協議会を開催していきたいとの考えを示した.
さらに,日医を理解してもらうには,まず,医療界全体,勤務医も含むすべての医師に日医の政策を理解してもらうことが重要だとし,現在,日医の新たな広報戦略として,日医ホームページを一新し,より日医の主張が広く伝えられるよう検討中であることを報告した.
(八)控除対象外消費税の早期撤廃について
控除対象外消費税の早期撤廃について,日医の今後の見通しと戦略を問う有坂實代議員(群馬県)からの質問には,藤川謙二常任理事が回答した.
同常任理事は,この問題ついては,従前より最重要課題として取り上げ,その解決に向けた取り組みを行ってきたが,平成八年の税制改正大綱(自由民主党)において,「消費税を含む税体系の見直しが行われる場合,社会保険診療報酬等の消費税非課税措置に関しても,そのあり方について検討する」とされて以来,改善されずに今日に至っていると説明.
そのうえで,医療機関の消費税負担の実態は極めて深刻な状況にあり,「税体系の見直し」の前に道筋をつけたいとの原中会長の意向もあることから,今年,初めて,日医と四病院団体協議会との連名により「平成二十三年度税制改正要望書」を取りまとめ,関係各方面へ働き掛けを行っていることを報告.「今後も,医療界が一丸となり,要望の実現に向けて努力していきたい」とした.
(九)弱くなった医師会を強くするための提言
加藤智栄代議員(山口県)から示された「弱くなった医師会を強くするための提言」に対しては,今村聡常任理事が回答した.
同常任理事は,勤務医の労働環境の改善のためには,現在の低医療費政策の下,過重労働せざるを得ない医師への十分なサポートが重要であると指摘.その解決策として,今年度の「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」の活動内容を紹介した.さらに,「医師の働き方のガイドライン策定」に向けて,検討していることを報告した.
「医療への司法の介入」に関しては,理不尽な医療裁判等には,医師会をはじめ医療界が迅速に見解を表明することが,患者,国民に医療の正しい姿を理解してもらうためにも極めて重要であるとし,今後も迅速な対応を心掛けていくとした.
「医師会の異動手続きの簡素化」については,現在,都道府県医師会の意見をアンケート調査中であるとしたほか,「勤務医の会費減免」については,会務の効率的運営,事業内容や収入・支出も考慮に入れなければならず,長期的課題だとして,理解を求めた.
(十)既存の資源を有効活用した医療・介護の充実を図る─介護療養型医療施設廃止を撤回すべき─について
笠島眞代議員(富山県)の日医の療養病床の在り方・方向性についての質問には,三上常任理事が,地域における医療・介護ニーズを把握したうえで介護療養型医療施設を存続すべきとの考えを示すとともに,既存施設の有効活用を図る必要性を強調した.
また,療養病床の在り方として,「急性期・回復期からの受け皿機能」「在宅患者の急性増悪時等に対応するショートステイ等の受け皿機能」「神経難病や認知症への継続的な治療」「がんの緩和ケアや看取りなど終末期対応機能」などが求められているのではないかと指摘した.
さらに,介護報酬に関する提案については,新たに会内に立ち上げた,「医療と介護の同時改定に向けたプロジェクト委員会」のなかで検討していく姿勢を示した.
(十一)介護支援専門員の資格更新におけるe-learningの活用促進と介護サービス事業公表制度の廃止について
関健代議員(長野県)の介護支援専門員の資格更新におけるe-learningの活用促進に関する提案ならびに,介護サービス情報の公表制度についての日医の見解を問う質問には,三上常任理事が回答した.
同常任理事は,研修の形態は各都道府県の判断で行われており,研修日程の分割や通信学習も可能であると回答.
e-learningについては,一部の研修で行われたが,低い利用率や費用面に問題があり,今後,厚労省等と連携しつつ検討していきたいと述べた.
また,介護サービス情報の公表制度については,手数料等に関する検討を行わずに制度が実施されたため,制度自体の再検討を要望し続けた結果,平成二十四年度より,手数料や年一回の調査義務を廃止する方向性の案が示されたことを説明するとともに,継続して働き掛けを行う考えを示した.
(十二)医療関連死の死因究明制度法制化の進捗について
弓倉整代議員(東京都)の医療関連死の死因究明制度の法制化の議論の進捗状況についての質問には,高杉常任理事が,医療関連死を取り扱う死因究明制度の議論は,停滞状態にあるため,地域医療を担当する立場から,日医の素案を示していきたいと述べた.
素案の大筋は,(1)遺族への真摯で十分な結果説明(2)審査機関による医学的見地からの調査回答(3)警察への通報を前提としない調査委員会の設置と,異状死体届出義務からの医療関連死の除外─になるとし,今後,「患者の安全確保対策室」を中心に検討したうえで,詳細は,執行部内及び会内委員会等での議論を重ね,修整したうえで公表し,会員にも意見を聞くとした.
(十三)公益法人制度改革への対応について
青木重孝代議員(三重県)の,公益法人制度改革に対する日医の対応を問う三つの質問((1)公益法人を目指すのか,代議員会への上程時期(2)日医年金の扱い(3)役員の選定及び解職に関する基本法の解釈)には,今村(聡)常任理事が,次のように回答した.
(1)日医は公益法人を目指す方向で準備を進めており,現執行部でも変更はない.医師年金問題解決の時期によるため,代議員会への上程の日程は現時点ではお答えしかねる(2)日医年金の分離問題は,特定保険業の枠組みで年金事業が継続出来るよう努めており,公益事業として認められる制度設計を内閣府とも意見交換している(3)移行後の役員選挙を現行と近い形で行えるよう,代表理事及び業務執行理事の選定権限を理事会から代議員会に移す規定を定款変更案に設ける一方,現在検討中である「会長選挙制度に関する検討委員会」の結論を待って,役員選挙制度に係る条文を,改めて今期の「定款・諸規程改定検討委員会」で検討するとし,今後これらの課題解決に鋭意努力するとした.
(十四)地域医療を支える中小病院・有床診療所に支援を
尾形直三郎代議員(栃木県)の地域医療を支える中小病院・有床診療所に支援をという質問には,今村(聡)常任理事が,地域医療では中小病院や有床診療所の役割が重要との考えを示すとともに,その経営基盤の安定化につなげるため,日医が行っている,消費税の社会保険診療非課税問題,事業税,四段階制,医療法人の承継税制,医療機器,建物の減価償却等の,平成二十三年度税制要望などの取り組みに対する理解と,都道府県・地区医師会における,その実現に向けた関係議員等への強力な働き掛けなどへの協力を求めた.
(十五)診療報酬点数表(体系)の簡素化について
横須賀巖代議員(佐賀県)の診療報酬点数表(体系)の簡素化に関する質問には,鈴木常任理事が,中医協でも,次期改定に向け,診療・支払両側から「検討すべき」との主張があり,厚労省も検討を約束しているが,各側の意図は同床異夢の状況であると説明.
日医では,「社会保険診療報酬検討委員会」「基本診療料のあり方に関するプロジェクト委員会」「医療と介護の同時改定に向けたプロジェクト委員会」で議論を開始しており,高度医療にも地域医療にも配慮したバランスの取れた簡素化を伴う引き上げを目指していきたいと強調した.
最後に,原中会長,藤森宗徳代議員会副議長から閉会あいさつが行われ,午後四時四十一分に閉会となった.
なお,代議員会の開会に先立ち,矢義雄第二十八回日本医学会総会会頭等から,来年四月に東京で開催される総会への参加を呼び掛けるあいさつがあった.
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