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第1181号(平成22年11月20日) |
第63回日本医師会設立記念医学大会
医学・医療の功労者を表彰
第63回日本医師会設立記念医学大会が11月1日,日医会館大講堂で盛大に開催された.式典では,日本医師会最高優功賞,優功賞,医学賞,医学研究助成費の授与と,併せて長寿会員慶祝者の紹介が行われた.(別記事参照)
冒頭,あいさつに立った原中勝征会長は,「日医は設立以来,国民の健康と福祉の増進を目指して会務の遂行に努めてきた.そして,諸先輩方が築いてこられた質の高い地域医療により,今日の国民医療の発展を見ているところである」としたうえで,「本日は,長年にわたり地域医療,及び本会の事業の推進にご尽力くださった方々にささやかな顕彰をもってお報いしたい」と表彰の趣旨を説明.また,「医療を取り巻く環境は大変厳しいが,国民が安心出来る最善の医療を目指し,今後とも会員とともに尽力したいと考えている.会員各位のご健勝を祈念する」と述べた.
つづいて,来賓を代表して,細川律夫厚生労働大臣(大谷泰夫厚労省医政局長代読)が祝辞を述べた.
この後,表彰式が行われ,受賞者が登壇.原中会長から表彰状と記念品目録を授与された.
なお,今回の受賞者は,日本医師会最高優功賞が二団体と十六名(「在任六年日本医師会役員」二名,「通算六年日本医師会役員及び都道府県医師会長」一名,「在任六年都道府県医師会長」二名,「医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」二団体と十一名),日本医師会優功賞が九名(「在任十年日本医師会代議員」二名,「在任十年日本医師会委員会委員」四名,「都道府県医師会長退任者」三名),日本医師会医学賞が三名,日本医師会医学研究助成費が十五名となっている(下記参照).
受賞者を代表して,松田尚武福井県医師会長が,「戦後六十五年を経て,世界一健康な国をつくりあげた日本の医療に,これまで地域の医療現場において役立つことが出来たことを誇りに思う.本日の受賞を契機に,より一層の努力,研鑽を重ねていくことを誓う」と謝辞を述べた.
表彰式終了後には,日本医師会医学賞受賞の三氏による講演,「人工多能性幹細胞の樹立」(山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長),「神経変性疾患の分子病態機序の解明」(辻省次東京大学大学院医学系研究科教授),「消化器癌幹細胞の臨床的意義」(森正樹大阪大学大学院医学系研究科教授)が行われた.
なお,白寿会員四十七名,米寿会員八百四十名の受賞者には,さらなる長寿を祈念して銀盃が贈呈されることになっている.
受賞者一覧
日本医師会最高優功賞
◇在任六年日本医師会役員
宝住 与一(栃 木)
岩砂 和雄(岐 阜)
◇通算六年日本医師会役員及び都道府県医師会長
藤原 淳(山 口)
◇在任六年都道府県医師会長
鶴谷 嘉武(群 馬)
松田 尚武(福 井)
◇医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者(都道府県医師会長推薦)
【団体の部】
●地域医療の整備・充実に貢献した医師会
横浜市中区医師会(神奈川)
●救急医療体制の整備・充実に貢献した医師会
京都医師会(福 岡)
【個人の部】
●尿路結石治療に著しく貢献した功労者
丹田 均(北海道)
●地域医療及び介護支援体制の確立に貢献した功労者
瀧田 孝博(茨 城)
●病診連携体制の確立に貢献した功労者
早川 (埼 玉)
●性感染予防活動に貢献した功労者
秋山 龍男(千 葉)
●救急医療体制の確立に貢献した功労者
大川 賢一(新 潟)
●医師の生涯教育活動の推進に貢献した功労者
太田 宏(愛 知)
●在宅医療の推進に貢献した功労者
浅野 定弘(滋 賀)
●地域医療・保健衛生活動に貢献した功労者
三浦 守(広 島)
●地域医療の発展に貢献した功労者
稲井 力(徳 島)
●救急医療体制の充実及び乳がん検診の促進に貢献した功労者
徳永 昭夫(愛 媛)
●地域医療の確保及び保健活動に貢献した功労者
金城 幸善(沖 縄)
日本医師会優功賞
◇在任十年日本医師会代議員
増田 一雄(北海道)
飯沼 雅朗(愛 知)
◇在任十年日本医師会委員会委員
宮本 慎一(北海道)
浦部 晶夫(東 京)
富永 孝(神奈川)
飛岡 宏(岡 山)
◇都道府県医師会長退任者
福田 孜(富 山)
中嶋 (三 重)
田代 收(島 根)
日本医師会医学賞
●人工多能性幹細胞の樹立
山中 伸弥(京大・iPS細胞研究所)
●神経変性疾患の分子病態機序の解明
辻 省次(東大大学院・神経内科学)
●消化器癌幹細胞の臨床的意義
森 正樹(阪大大学院・消化器外科学)
日本医師会医学研究助成費
●自己骨髄間葉系幹細胞療法とイマチニブの併用による糖尿病合併症の治療戦略
藤宮 峯子(札幌医大・解剖学)
●脂肪組織の炎症抑制反応による代謝改善に関する基礎的研究
薄井 勲(富山大大学院・内科学)
●アクチンの構造様式制御による聴覚受容メカニズムの解明
北尻真一郎(京大・耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
●慢性移植片対宿主病の発症機構における間葉系幹細胞の役割と新規治療法の開発
小川 葉子(慶大・眼科学)
●癌ワクチン療法における予後予測に有用な新しいバイオマーカーの開発
笹田 哲朗(久留米大・免疫・免疫治療学)
●虚血性心不全形成過程における心筋細胞オートファジーの役割
竹村 元三(岐阜大大学院・循環病態学)
●高血圧発症・進展における脳内活性酸素による交感神経系活性化機構解明と治療法の開発
廣岡 良隆(九大・循環器内科学)
●膵内・外分泌細胞再生機構の解明と膵疾患治療への臨床応用
洪 繁(名大・消化器内科学)
●尿バイオマーカーのパネル化による糖尿病管理で得られる糖尿病性腎症の発症・進行抑制効果と医療経済効果
池森 敦子(聖マ医大・解剖学)
●神経障害性疼痛としての片頭痛の病態解明と治療法の開発
鈴木 則宏(慶大・内科学)
●統合失調症の治療法・予防法開発研究
橋本 亮太(阪大大学院・連合小児発達学研究科附属子どものこころの分子統御機構研究センター)
●光イメージング法を用いた脳の健康に関する生涯発達研究
酒谷 薫(日大・脳神経外科学)
●子宮内膜症における瘢痕形成の病態解明と新しい視点に基づく治療法の開発
奈須 家栄(大分大・産科婦人科学)
●新しい画像解析システムを利用した緑内障の極早期診断法と進行評価法の確立
富所 敦男(東大大学院・眼科学)
●Adipokineの制御による乾癬の治療:メタボリックシンドロームとの関連
神田奈緒子(帝京大・皮膚科学)
白寿会員
飯室 キン(北海道)
他四十六名
米寿会員
阿部 一治(北海道)
他八百三十九名
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