日医ニュース
日医ニュース目次 第1196号(平成23年7月5日)

視点

「女性医師支援センター事業」の更なる活用を

 平成十年より連続して医師国家試験合格者に占める女性の割合は三〇%を超えている.その一方で,日本における女性の年齢階級別労働力率は,三十歳代を底辺としたM字カーブを描いており,妊娠・出産・育児の時期に職場を離れる傾向が見られ,この傾向は女性医師にも同様に認められる.
 妊娠・出産・育児等を契機として女性医師が離職してしまうことは,実働医師数の減少に直結しており医師不足の一因ともなっている.女性医師への就労支援は,マンパワーの確保はもとより医師全体の勤務環境改善のためには喫緊の課題といえる.
 日医が平成十八年に厚生労働省から委託された「女性医師支援センター事業」では女性医師へのさまざまな支援を行っている.その中核である「日本医師会女性医師バンク」は,平成十九年一月の開設以来,医師であるコーディネーターが求職者や求人施設からの相談に直接応じ,離職している女性医師の再就業の支援や求人施設との連絡調整等を行っている.
 五月三十一日現在の求職登録者数は二百八十八名(延べ五百九十八名),求人登録施設・件数は千二百七十五施設(延べ三千三百七十九件)であり,再就業成立件数(含む再研修)が二百六十二件となっているが,残念ながらいまだに認知度が低い.これまでにも都道府県・郡市区医師会を中心に,全国の大学や病院,学会,医会,大学同窓会,女医会等に女性医師バンクの情報を発信したり,テレビを通じての広報活動も行ってきたが,引き続き努力していく所存である.
 昨年十二月,第三次男女共同参画基本計画が閣議決定された.この中では,「社会のあらゆる分野において,二〇二〇年までに,指導的地位に女性が占める割合が,少なくとも三〇%程度になるよう期待する」という目標が改めて明記され,日医でも女性医師会員の増加に努めるとともに,医師会役員への女性医師の登用,各種委員会への参画等を進めていくことにしている.
 さらに,女性医師支援センターでは今年度,(一)女性医師バンクによる就業継続,復帰支援(再研修を含む),(二)女子医学生,研修医等をサポートするための会の開催,(三)各都道府県医師会での女性医師等相談窓口の設置促進,(四)各都道府県医師会の女性医師支援についての情報交換,女性医師支援センター事業ブロック別会議の実施,(五)医師会主催の講習会等への託児サービス併設促進と補助,(六)女性医師のキャリア支援のためのDVD作成,(七)女性医師支援センターのホームページの作成,(八)女性医師の就労環境の改善と健康支援─を行うことを決めた.
 センターでは,女性医師の就労支援が医師全体の勤務環境の改善につながるものと確信し,引き続きこれらの事業を実施していく所存である.会員の皆さまには,本事業への更なるご理解とご協力をお願いしたい.

(副会長・羽生田俊)

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.