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第1199号(平成23年8月20日) |
東日本大震災における保険診療上の取り扱いについてのお知らせ
医薬品の長期処方の自粛及び分割調剤考慮の終了(7月末日)について
東日本大震災で製薬会社の工場などが被災し,一部の医薬品が生産中止になったことから,日医では,厚生労働省と共に被災地域に必要な医薬品を供給するため,長期処方の自粛や分割調剤を考慮するなど,必要最小限の最適な処方・調剤に努めていただくようご協力を要請してまいりました.
その後,生産設備の復旧,拠点の変更,緊急輸入等の対応により,多くの医薬品の安定供給が確保されつつあることから,未だ十分な供給体制にない中外製薬の「マドパー配合錠」や「リボトリール錠」等の一部の医薬品を除き,長期処方の自粛及び分割調剤の考慮の要請を七月末日をもって終了といたしました.
また,「チラーヂン」や「エンシュア・リキッド」等,個別に長期処方の自粛や使用制限・代替品の使用等をお願いしていた医薬品につきましても,従前の使用方法に対応可能な供給状況に回復しつつあることから,併せて長期処方の自粛や使用制限を終了いただきますようお願いいたします.
なお,今回の大震災への対応とは別に,平成二十二年に日医が実施した調査によると,長期処方が理由で病状が重篤化した深刻な事例も少なくないとの結果(※)が出ていることから,日医といたしましても,「国の責任として,中医協等で,しっかりと調査を実施し,実態を正確に把握した上で,長期処方を法的に規制すべきかどうかなどについて議論し,方向性を決定すべき」と主張していく所存であります.
会員の皆様にも,この機会に改めて,医師の責務として適切な処方期間の確保に努めていただくようお願いいたします.
※「長期処方についてのアンケート調査」(平成二十二年十二月)(日医ホームページ参照)
問題事例(容態悪化)の例
- 腎機能障害の患者が数カ月後腎不全になったことが判明
- 心不全により退院で三カ月の処方を受けた後,浮腫などの症状が増悪
- 他の病院で降圧剤を三カ月処方され低血圧状態となった例を経験
- 他院で九十日処方を受けており糖尿病が悪化して入院に至る
- 内服薬(顆粒)が湿って血中濃度が低下し,けいれん発作を起こした
- 甲状腺術後,長期投与により夏期に脱水を起こし,高カルシウム血症から急性腎不全(一過性)になった
- 患者の降圧剤の服用が不規則になり,血圧が不安定となって脳出血を生じた
- ワーファリン投与中自己判断で中止され血栓弁となって心不全症状となり再手術
大震災の被災者に係る一部負担金等の取り扱いについて
東日本大震災の被災者の方々で,一定の条件に該当される場合には,医療機関の窓口において一部負担金等の支払が免除されることとなっております.
該当される被災者の方々がこの免除の特例を受けるためには,七月一日より被保険者証の他,一部の市町村を除いて,保険者や市町村に申請の上,交付される「一部負担金等免除証明書」の提示が必要になっております.
一部負担金等の免除期間は,平成二十四年二月末まで(入院時食事療養費及び入院時生活療養費は平成二十三年八月三十一日までを予定)となっておりましたが,今般,被災地の状況等を踏まえ,入院時食事療養費及び入院時生活療養費につきましては,平成二十三年九月以降も当面,支払を免除することとなりました.
なお,既に交付されている「一部負担金等免除証明書」によっては,入院時食事療養費及び入院時生活療養費の標準負担額の免除の有効期間が『平成二十三年八月三十一日まで』と記載されているもの,これを取り繕ったもの,空白のもの等がありますが,その記載内容にかかわらず,追って連絡されるまでの間,当面有効なものとして取り扱うことが出来ます.
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