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第1201号(平成23年9月20日) |
平成24年度の「医療に関する税制に対する意見」まとまる
日医は,八月二十三日に開催された第五回理事会で,二十五項目(そのうちの十三項目を重点項目)からなる「平成二十四年度医療に関する税制改正要望」を承認した.
それを受けた定例記者会見で,今村聡常任理事は,今後,政府税調など公の場で議論されるよう,関係議員や関係各方面に対して働き掛けを行っていく考えを示した.
八月二十四日の定例記者会見で,税制改正要望の内容を説明した今村(聡)常任理事は,消費税対策や事業税対策などの重点項目を中心に,日医として強く要望する項目について,現状・実態とその問題点を解説した.
「消費税」については,税と社会保障制度の議論の中で,消費税率の引き上げが具体的に俎上(そじょう)に載せられている現状から,控除対象外消費税への対応を強く要望していく必要があるとし,二十一日に開催した市民公開セミナー「医療と消費税」でも,同内容を解説したことを報告した(別記事参照).
更に,同常任理事は,「あくまでも,医療機関の仕入税額控除が可能な課税制度を望む」としながら,「患者負担が増えないよう,ゼロ税率や給付付き税額控除などのように,国民が納得出来る形で政府に対応して欲しい」と述べた.
また,その課税制度に改めるまでの緊急措置として,設備投資に係る仕入税額控除の特例措置の創設も強く求めていくとした.
「社会保険診療報酬等に対する事業税非課税存続」については,平成二十三年度税制改正大綱において,「平成二十二年度の議論を踏まえつつ,地域医療を確保するために必要な措置について,来年一年間議論し,結論を得る」とされており,重要事項として,存続を強く要望していくとした.
なお,「重点項目」の内容は,以下のとおりである.
〈医業経営〉
一,消費税対策(消費税)
(1)社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を,仕入税額控除が可能な課税制度に改め,かつ患者負担を増やさない制度に改善.
(2)上記課税制度に改めるまでの緊急措置として,設備投資に係る仕入税額控除の特例措置創設.
二,社会保険診療報酬等に対する事業税非課税存続.(事業税)
三,医療法人の事業税について特別法人としての税率課税存続.(事業税)
〈医療法改正に伴う経過措置〉
四,医業承継時の相続税・贈与税制度の改善.(相続税・贈与税)
〈勤務環境〉
五,「地域枠」における医学生支援等地域医療確保のための医学生修学金等の返還免除について,給与所得として課税されないよう必要な措置を講ずること.(所得税)
〈患者健康予防〉
六,がん検診・予防接種への医療費控除適用.(所得税)
七,たばこ税の税率引き上げ.(たばこ税・地方たばこ税)
〈社会医療法人〉
八,特定医療法人,社会医療法人及びその他の公益性を有する医療機関への寄附者に対する税制措置.(所得税・法人税・相続税)
〈医療施設・設備〉
九,中小企業投資促進税制の適用期限延長及び拡充.(所得税・法人税)
十,医療機関が取得した耐震構造建物,防災構造施設・設備等に係る税制上の特例措置創設.(所得税・法人税・固定資産税・都市計画税・不動産取得税)
〈その他〉
十一,社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階制)存続.(所得税・法人税)
十二,人材投資促進税制の適用期限延長及び適用対象者拡充.(所得税・法人税)
十三,公益法人制度改革に関わる所要の税制措置.(所得税・法人税・相続税・登録免許税・固定資産税・都市計画税・不動産取得税)
(一)医師会について
・医師会への寄附者に対する税制措置.
・医師会が行う開放型病院等の固定資産税等非課税措置の恒久化,その他の措置.
(二)福祉病院の固定資産税等非課税措置の恒久化.
(三)一定の医療保健業を行う非営利型法人等に係る固定資産税等軽減措置及び公益目的事業として行う医療保健業に係る固定資産税等軽減措置.
(四)医師会等が一般社団法人・一般財団法人に移行した場合における利子配当に係る源泉所得課税の特例措置.
〔詳細は日医ホームページ「定例記者会見」(平成二十三年八月二十四日)掲載資料を参照〕
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