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第1204号(平成23年11月5日) |
横倉・中川両副会長
医療分野におけるTPPの問題点を改めて説明
TPPを慎重に考える会に出席する中川副会長 |
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民主党経済連携プロジェクトチームの
ヒアリングに出席する横倉・中川両副会長 |
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中川俊男副会長は十月十二日,TPPを慎重に考える会(会長:山田正彦前農林水産大臣)の第七回勉強会に出席し,日医の考える医療分野におけるTPPの問題点について説明した.
中川副会長は,まず,日本の現状について,「新自由主義が復活し,医療の市場開放に向けた議論が進められているが,TPPへの参加は究極の規制改革であり,医療開国の危機だ」と述べ,TPPへの参加に改めて懸念を表明.その上で,TPPへの参加によって起こりうる(一)外国資本を含む企業などの日本の医療への参入,(二)外国人医師の受け入れ,(三)営利目的による外国人患者の治療,(四)混合診療の全面解禁─等について,それぞれの問題点を次のように指摘した.
(一)では,「外資系を含む営利企業の病院は,高額な自由診療を行うことになるが,病院は自由診療で良いということになれば,国は公的医療保険の診療報酬を引き上げず,公的医療保険で診療していた地方の病院などは立ち行かなくなる」と説明.(二)については,「外国人医師に高額な給与を支払うために,病院は高額な自由診療を目指すようになり,公的医療保険で医療を行う病院が減っていく」「クロスライセンスによって外国人医師を受け入れた場合,日本の医療水準が低下する危険がある」―などの問題点を挙げ,日本の医療は,高い医療水準が確保されている日本の医師免許の下で行うべきだと主張した.
(三)については,公的医療保険に頼っている日本人が,医療から締め出される恐れがあるとして,営利目的により,外国人患者を招致することは誤りだと強調.(四)については,既に混合診療は一部で解禁されていることを説明した上で,将来的に公的医療保険の範囲が狭められる恐れのある混合診療の全面解禁には強く反対していくとした.
その上で,中川副会長は,「規制制度改革やTPPの流れがこのまま進めば,所得によって受けられる医療に格差のある社会が生まれてしまう」とし,「そうならないためにも日医は全力で国民皆保険を守っていく」と述べ,日医の考えに対する理解と協力を求めた.
また,十七日には横倉義武・中川両副会長が同問題に対する民主党経済連携プロジェクトチーム(座長:鉢呂吉雄前経済産業大臣)のヒアリングに出席した.
横倉副会長は,タイやマレーシアを訪問した際に一部の裕福な人たちだけが医療機関に受診していたことに触れ,「そのようなことが起こりかねないTPPへの参加には慎重であるべき」と主張.一方,中川副会長は,改めてTPPの問題点を指摘するとともに,国民皆保険の堅持,医療の安全と安心の確保が約束されない限り,TPPへの参加を認めることは出来ないと強調した.
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