日医ニュース
日医ニュース目次 第1206号(平成23年12月5日)

平成23年度中部医師会連合委員総会
受診時定額負担やTPP問題に関する日医の考えを説明

平成23年度中部医師会連合委員総会/受診時定額負担やTPP問題に関する日医の考えを説明(写真) 平成二十三年度中部医師会連合委員総会が十一月十二,十三の両日,名古屋市内で開催され,日医から羽生田俊副会長,三上裕司・葉梨之紀・鈴木邦彦各常任理事が出席した.
 十二日には,妹尾淑郎中部医師会連合委員長(愛知県医師会長)らのあいさつの後,「平成二十二年度中部医師会連合収入支出決算に関する件」など,三件について審議が行われ,了承された他,次期委員長に岩城勝英富山県医師会長を選出した.その後は三つの特別委員会が開催された.
 社会保険特別委員会では,鈴木常任理事がまず,先頃公表された医療経済実態調査の結果(速報値)の概要を説明.医療機関の収支には一定の改善が見られるとされているが,損益分岐点などを見ると,厳しい状況に変わりはないと指摘.また,今回から行われた二事業年度を対象とした調査(定点調査)については,「この調査により,これまでの単月調査の誤りが明らかになった」として,今後は調査の対象施設を拡大すべきとの考えを示した.
 指導監査に関しては,その見直しに向けて,厚生労働省と協議を重ねており,可能な所から順次実施していきたいと説明.また,施設基準の適時調査の返還期間の問題にも触れ,個別指導と同様に一年とするよう要望しているとした.
 介護保険特別委員会では,三上常任理事が介護保険部会,介護給付費分科会等での議論の経過を概説.介護報酬に関しては,介護従事者の処遇改善につなげるためにも引き上げるべきとの考えを示した他,ケアプラン作成への利用者負担導入や一定以上の所得がある人の利用者負担割合の引き上げについては断固反対する考えを示した.また,出席者からは,地域医師会が介護に対してもっと積極的に関わるべきだといった意見が出された.
 広域災害救急医療特別委員会では,葉梨常任理事が,JMATIIの活動状況や原中勝征会長が中央防災会議「防災対策推進検討会議」の委員に就任したことなどを報告.各県医師会に対しては,今回の震災対応を検証し,今後の防災対応の在り方等について検討して欲しいと要望した.出席者からは,地域防災計画の中にJMATが入れてもらえるようにして欲しいといった要望や,指揮命令系統の問題点を指摘する意見が出された.
平成23年度中部医師会連合委員総会/受診時定額負担やTPP問題に関する日医の考えを説明(写真) 翌十三日には,羽生田副会長が,「日本医師会の対応すべき課題」と題して,特別講演を行った.
 東日本大震災への対応については,震災後の日医の対応として,JMATの活動や被災者健康支援連絡協議会を立ち上げたこと等を報告.次期診療報酬改定については,日医が是正を求めている十四の不合理項目の内容を説明した上で,「この項目はあくまで現時点のものであり,年末に決定される改定率によっては更に項目を増やし,その見直しを求めていきたい」と述べた.
 受診時定額負担の問題については,給付範囲を狭める政策,患者負担を強いる政策には断固反対していくことを改めて強調した上で,日医が将来的に公的医療保険を一本化することを提案していることにも触れ,その際には医師国保の一本化も図る必要があるとの考えを示した.
 TPPに関しては,混合診療の全面解禁など,TPPをきっかけとして起こり得る問題点を解説.「野田佳彦総理が参加を表明してしまった以上,今後は交渉の行方を注意深く見守っていきたい」とした.
 医師不足・偏在の解消に関しては,「医師養成についての日本医師会の提案」を基に,日医の考える医師偏在の解消策を説明.今回の提案は研修医に大学に軸足を置いてもらうことを目的としているとして,その実現に向けた協力を求めた.

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