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第1234号(平成25年2月5日) |
社会保障教育
平成二十三年十月から厚生労働省内に,文部科学省も加わった「社会保障の教育推進に関する検討会」が設置されているのをご存知でしょうか.
大きな政治課題である社会保障ですが,その役割や基本理念,財源,国際比較について,必要な知識を持っている国民が少ないのが現状です.なぜなら,学校で医療制度を含めた社会保障の基礎を学んでいないからです.その結果,無駄を削れば低負担でも高福祉が実現するかのごとき,詐欺まがいの政策を多くの人が信じてしまいました.成熟社会に突入したこの国で,社会保障の基本である政府の役割,再分配の根拠などは悲しいほど議論にもなりません.
過去二十年間,政府は出来るだけ小さくし,規制は無くして,市場に任せれば社会は効率良くなり,豊かになる,公助より自助を優先せよとの経済学者の説がまかり通ってきました.
しかし,失業者は増え,正規雇用が減り,結婚出来ない若者が増えて少子化は進み,賃金カットでデフレは進行し社会不安は大きくなっています.日本をここまで悪くしたのは誤った経済政策を提言してきた経済学者ではないでしょうか.
臨床現場では病人が回復しなければ,診断,治療を見直すのが常識です.
しかし,経済学者は患者がきっちりと薬を飲まなかったからだとか,特殊な体質だからだとか言い訳して誤った治療を続けようとしています.
ヤブ医者ならぬヤブ経済学者にはさっさと退場していただきましょう.彼らに騙(だま)される国民を少なくするためにも,社会保障教育の推進は不可欠です.
(撥)
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