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第1238号(平成25年4月5日) |
日医
関係学会・医会と共に「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」実施に当たっての方針を公表
日医は,日本産婦人科学会が三月九日に,「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」の指針を確定したことを受けて,同日,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会及び日本人類遺伝学会と共同で声明を発表し,本検査を実施するに当たって,以下の四つの方針を示した.
一,本検査には倫理的に考慮されるべき点のあること,試料を分析する検査会社が未だ国内にはないこと,わが国独自の解析経験とデータの蓄積が存在しないことなどから,その実施は,まず臨床研究として,認定・登録された施設において慎重に開始されるべきである.また,文部科学省,厚生労働省,経済産業省の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」,及び日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」に則って行われるべきである.
二,本検査を実施する施設の認定・登録は,日本医学会臨床部会運営委員会「遺伝子・健康・社会」検討委員会の下に設置する「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」施設認定・登録部会で行う.本部会は,日本産科婦人科学会,日本小児科学会,日本人類遺伝学会からの委員及び法学・倫理の専門家で構成される.
三,今後,出生前遺伝学的検査には,今回のような常染色体の数的異常に関する検査以外にも種々の遺伝学的検査が開発されることが予想される.このような検査を用いた出生前診断では,十分な遺伝カウンセリングが行われる体制の整備が必要であり,私たちは,わが国における遺伝カウンセリング体制のより一層の普及と充実のために努力する所存である.
四,日医,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本人類遺伝学会の会員以外の,学術団体,医学研究機関,医療機関,臨床検査会社,遺伝子解析施設,遺伝子解析の仲介会社,健康関連企業,マスメディアなどにも,本指針の考え方を尊重するよう呼び掛ける.
当日は,久史麿日本医学会長,小西郁生日本産科婦人科学会理事長,木下勝之日本産婦人科医会長,福嶋義光日本人類遺伝学会理事長らがそろって会見を行い,方針の内容を説明した.
横倉義武会長に代わって,記者会見に臨んだ道永麻里常任理事は,新しい医療技術等は,国民に大きな期待を抱かせるからこそ,当該技術に対する十分な理解,あるいは倫理性・安全性の検証が重要になるが,今回の検査に関しては,本日の共同声明にも触れられている,「まず,臨床研究として実施されること」,そして,「日本医学会の中に設置される部会で施設認定・登録されること」で対応が可能であると指摘.今後に関しては,引き続き,さまざまな角度から協力していく意向を示した.
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