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第1264号(平成26年5月5日) |
4月9日
「医療基本法(仮称)」に関する日医提案について
今村定臣常任理事は,「医療基本法(仮称)」に関する日医の提案について説明した.
初めに,同常任理事は,会内の医事法関係検討委員会(委員長:鈴木勝彦静岡県医師会長)が,今期,横倉義武会長からの諮問「医療基本法(仮称)の制定に向けた医事法制の検討」を受け,取りまとめた答申「『医療基本法』の制定に向けた具体的提言(最終報告)」が,三月二十六日に,横倉会長に答申されたことを報告し,これまでの経緯を以下のように説明した.
同委員会では,平成十八年度から八年間,一貫して,医師・医療提供者と患者の法的関係について考察を加え,(1)わが国の医療を取り巻く法制度,行政通達には,本来,信頼関係に満ちた良好な関係であるべきはずの医師・患者関係を阻害するような不合理な規定が存在している(2)これらの法規定には,国の医療に対する一貫した基本理念を見出すことが出来ない─といった問題提起をしてきた.その抜本的な解決策の一つとして,わが国に無秩序に制定される医療関連法規と日本国憲法の間を媒介する役目を持ち,医療分野における「親法,親たる法」という性格を持つ「医療基本法」という法律を定めることが必要であるとの提言を委員会としてまとめるに至り,既に二年前の平成二十四年三月の答申の中で,医療基本法の具体的な提言を「条文草案」として提示している.
今回の答申は,平成二十四年の答申以降,全国で開催した「医療基本法制定に関するシンポジウム」や,さまざまな団体との意見交換などを踏まえ,委員会として更なる検討を加えた結果をまとめたもので,特に説明部分などは以前のものとほぼ変わっていないが,「医療基本法(仮称)案」の部分は,委員会において度重なる議論を経て成案を得たものである.
以前の答申との主な違いとしては,(1)「七つの性質(非代替性・科学性・平等性・体系整備性・規範性・公共性・相互扶助性)」に「不確実性」を加え,「医療が有する八つの性質」としたこと(2)医療提供施設やその管理者の義務を加えたこと─などを挙げた.
その上で,同常任理事は,四月八日に開催された平成二十六年度第二回常任理事会において,本答申の内容を日医の医療基本法に関する提案として位置付けることが正式に決定したことを報告し,今後,日医が医療基本法について意見等を表明する場合には,本答申の内容に沿った形で進めていくことになると説明した.
更に,今後の活動については,いまだに明確に決定されていないとしながらも,「患者団体や市民団体の方々とも協調しながら,ぜひとも早期の立法化を目標に,国会議員等に対する働き掛けもしていきたい」とした他,広く国民からの意見を拝聴したいとの考えを示した.
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