日医ニュース
日医ニュース目次 第1264号(平成26年5月5日)

第2回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式
安倍総理を来賓に迎え,5名の功労を顕彰

第2回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式/安倍総理を来賓に迎え,5名の功労を顕彰(写真) 第二回「日本医師会 赤ひげ大賞」(日医・産経新聞社主催)の表彰式並びにレセプションが三月二十八日,都内で開催された.
 本賞は,現代の“赤ひげ”とも言うべき,地域の医療現場で長年にわたり,健康を中心に住民の生活を支え,その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師にスポットを当て,顕彰することを目的として,平成二十四年度に創設したものである.
 表彰式は参列者百七十名の中で開式.
第2回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式/安倍総理を来賓に迎え,5名の功労を顕彰(写真) 冒頭,来賓祝辞を述べた安倍晋三内閣総理大臣は,「今,地域医療に求められているのは,単に病気を治すだけではなく,地域の皆さんが健康面で安心して暮らせるよう,何でも相談出来るかかりつけ医の存在だと思う.今回受賞された方々の,地域医療を守ろうという崇高な使命感と行動力は,まさに現代の赤ひげ先生である」として,受賞者の日頃の活動を労うとともに,本賞の更なる発展に期待を寄せた.
 主催者あいさつで,横倉義武会長は,「『赤ひげ先生』の実在のモデルは,江戸中期に貧民救済施設である小石川養生所で活躍した小川笙船(しょうせん)と言われているが,病に苦しむ人がいれば何としても助けたいというのが医療人の願いであり,医療の本質は当時も今も変わらない」と述べた上で,各地域で献身的に医療活動を行う受賞者は「現代の赤ひげ先生」であると称賛.わが国が高齢化のピークを迎える二〇二五年に向け,かかりつけ医を中心とした医療と介護が連携する地域ネットワークづくりを進めていくことが日医の使命であるとし,必要とする医療が過不足なく受けられる社会づくりに向け,さまざまな事業活動や国への働き掛けを行っていくとした.
 田村憲久厚生労働大臣(村木厚子厚労事務次官代読)の祝辞に続いて,参議院議員の羽生田俊氏が来賓あいさつを行った.
 また,選考委員である石川広己常任理事が選考経過を報告するとともに講評を述べた.同常任理事は,「各都道府県医師会から推薦頂いた三十一名の先生方は全て,本賞に値する素晴らしい活動を続けてこられた方ばかりで,選考には困難を伴った」と振り返った上で,受賞の五名は,特に,病気だけでなく,患者さんやその家族が暮らす地域まで診ている点が高く評価されたとし,「本賞が各地域で日本の医療を支えている先生方の励みとなることを願っている」と述べた.
 引き続き主催者である横倉会長,熊坂隆光産経新聞社社長から,受賞者に表彰状,トロフィー並びに副賞が手渡された.
 受賞者を代表してあいさつした神奈川県の野村良彦氏は,今回の表彰に対する謝意を示すとともに,首都圏でありながら最寄りの駅まで三キロメートルという交通が不便な地域における自身の診療の様子を紹介.外来に来られなくなった高齢の患者さんから,往診,更には看取りまで依頼されるとし,「生活歴まで把握していなければ,かかりつけ医とは言えない.患者さんが安心して生活を継続出来,安心して亡くなることが出来る地域になれるよう,今後も努力していきたい」とかかりつけ医としての矜持を述べた.
 その後,脚本家の倉本聰氏による特別講演が行われた.倉本氏は,NHKドラマ「赤ひげ」の脚本を手掛けたことや,自身の体験を基に安楽死など医療に関するドラマの脚本を書いてきたことを紹介するとともに,医療技術や医療機器の発達により,最期の在り方が複雑になっていることを指摘.地域住民の心に寄り添い続けるかかりつけ医の,ますますの活躍を願うとした.
 レセプションでは,選考委員である羽毛田信吾氏(昭和館館長・宮内庁参与),向井千秋氏(宇宙航空研究開発機構特任参与),小林光恵氏(作家),山田邦子氏(タレント)からゲストスピーチ(山田氏はVTR)が行われ,受賞者所属医師会を代表して,北海道医師会の長瀬清会長があいさつした.また,約十分間にわたり受賞者の診療の様子等が映像で紹介された他,各受賞者がスピーチし,レセプションは盛会裏に終了となった.
 なお,当日の模様や,受賞された先生方の診療の様子などが,「密着! かかりつけ医たちの奮闘〜第二回赤ひげ大賞受賞者〜」として,BSフジで三月三十日(日)正午から五十五分間放映された.

順列は北から.受賞者の年齢は平成26年3月末現在.
受賞者 受賞者の功績
下田 憲(しもだ けん)先生
66歳 北海道
けん三のことば館クリニック
広大な山間地域で24時間献身的な医療活動
○空知郡 幾寅という医療資源の乏しい地域で開業し,近隣の老人ホームや障害者施設,保育園の担当医として活動するかたわら,広大な同地域内における往診にも積極的に対応してきた.
○24時間献身的に医療活動を行うだけでなく,休日には同地域の老人ホームでアコーディオンを演奏するなど,まさに地域の健康・医療を支える医師と言える.
野村 良彦(のむら よしひこ)先生
67歳 神奈川県
野村内科クリニック
都市部でも交通が不便な地域で幅広く患者のニーズに対応
○三浦半島で最寄りの駅まで3kmという交通が不便な地域で開業し,外来診療から在宅診療まで「かかりつけ医」として幅広く患者のニーズに応え続けている医師.
○在宅医療では,多岐にわたる疾病や障害を持つ1,000名余りを担当し,500名以上を看取っている.
○また,市民活動として,がん患者を対象とした「がんなんでも相談」等を実施するなど,地域医療に多大な貢献をしている.
小鳥 輝男(おどり てるお)先生
68歳 滋賀県
医療法人社団 小串医院
「患者よし・医療機関よし・地域よし」の「三方よし研究会」を設立
○滋賀県東近江市保健所圏域において地域医療における「患者」「医療機関」「地域」の良好な関係を実現させるため,医師,看護師,薬剤師,理学療法士,歯科衛生士,健保職員等,立場の違う医療従事者の方々が毎月集う,「三方よし研究会」を設立.
○終末期に自宅で医療や介護を受けるなど,患者さんにとって最善の方法を模索するためのコミュニケーションを実現している.
大岩 香苗(おおいわ かなえ)先生
56歳 兵庫県
医療法人 大誠会大岩診療所
患者・家族・母親目線で町民の心の支えに
○「赤ひげ大賞」初の女性受賞者.
○女性医師で外科医という大変貴重な存在として,上郡町約15,000人の地域医療を担うとともに,往診にも力を入れ,患者と家族の支えになっている.
○また,地域の中学校の校医や上郡町の乳がん検診を一手に引き受けるだけでなく,町の取り組みにも積極的に協力するなど,高齢化率の高い同町において,障害者,高齢者の方が不安なく生活出来るよう地道な努力を続けている.
白石 吉彦(しらいし よしひこ)先生
47歳 島根県
隠岐広域連合立 隠岐島前病院
離島唯一の病院でチーム医療を実現し,住民から熱い信頼
○隠岐諸島の有人4島のうち,島前と呼ばれる西ノ島,中ノ島,知夫里島の地域医療支援ブロック制の拠点となる「隠岐広域連合立 隠岐島前病院」に,院長として10年以上勤務.
○人口約6,500人の当該地区における医療の中核としての役割を担っている.
○離島における唯一の病院では,医療機器をフル活用して治療に当たっている他,同院のスタッフによるチーム医療も実現し,住民から熱い信頼を寄せられている.

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