日医ニュース
日医ニュース目次 第1268号(平成26年7月5日)

石井常任理事
ハーバード大学公衆衛生大学院武見国際保健プログラム視察並びに2014年アメリカ医師会(AMA)年次総会に出席

左から,ライシュ教授,ハンター副学長,
石井常任理事
 石井正三常任理事は六月五日,アメリカのボストンに出張し,ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)武見国際保健プログラムの視察を行った.
 一九八三年に「医療資源の開発と配分」を唱え国際保健の向上に貢献した武見太郎元日医会長の功績を称え,ハーバード大学が同大学公衆衛生大学院に設置した武見プログラムは,昨年三十周年を迎え,記念シンポジウムが日米で開催された.日医は,当プログラムの設立当初より継続して支援を行い,特に一九九四年以降は五年を期間とする覚書を締結してその関与を明確にしてきた.
 今回の出張では,三十一年目を迎えた武見プログラムの将来構想を論じ,また,覚書の更新を行うため,デビット・ハンターHSPH国際保健人口学副学長,マイケル・ライシュ武見プログラム指導教授と面談.本年六月三十日に期限を迎える同プログラム支援に関する日医とHSPHとの間の五年間の覚書(今回から,低所得国からのフェロー二名に対する日本製薬工業協会からの奨学金の項目を追加)の更新を行った.
 現在,武見プログラムは,五十一カ国二百四十二名の武見フェローを輩出しており,中にはインドネシアのナフィシア・ムボイ保健大臣等,国の政府中枢にあって,国民医療の改善,国際保健の向上に努めているフェローも多い.しかし一方で,財政難からアフリカなど途上国からのフェローが奨学金を得られず応募を断念するケースが増加している.そのため,新たな奨学金制度が設置され,覚書に盛り込まれた経緯がある.
 その後の武見フェローによる研究発表では,九名の武見フェローによる報告を受け,石井常任理事による各報告者へのコメント及びアドバイス,質疑応答が行われた.
 また,同大学院等に所属する日本人研究者との懇談も行われた.
 石井常任理事は,また,六月九,十の両日,アメリカのシカゴにおいて開催されたアメリカ医師会年次総会に出席した.
 九日には海外招待者のための懇親会が行われ,アメリカ医師会のジェームズ・マダラCEO,アーディス・ホヴェン前会長,セシル・ウィルソン世界医師会(WMA)前会長(アメリカ医師会元会長),WMAのマーガレット・ムンゲレラ会長(ウガンダ),ムケシュ・ハイカワル議長(オーストラリア),オトマー・クロイバー事務総長(ドイツ)他,イギリス,カナダ,フィンランド,イスラエル,タイ,台湾各国医師会の参加者と本年十月に開催されるWMAダーバン総会(南アフリカ共和国),九月のアジア大洋州医師会連合(CMAAO)マニラ総会(フィリピン)等について意見交換を行った.
宣誓を行うロバート・ワー新会長(中央)
 翌十日には,第百六十九代ロバート・ワー新会長の就任式が行われ出席した.ワー新会長はアジア系(台湾)として初めてのアメリカ医師会長である.オレゴン州出身の生殖内分泌学者,産婦人科医で,国立軍事医療センター,アメリカ国立衛生研究所(NIH)において医療と教育を実践する一方,医療ITの権威として,コンピュータ・サイエンス・コーポレーションのチーフメディカルオフィサーも務めている.また,アメリカ海軍医療部隊大尉を二十三年以上,アメリカ厚生省国家医療IT調整官室で副調整官を務めてきた.
 日医は,本年二月に開催した「平成二十五年度日本医師会医療情報システム協議会〜医療IT化の進展と医療への影響・個人情報保護等について〜」のインターナショナルセッションに講師としてワー新会長(当時次期会長)を既に招聘(しょうへい)しており,「情報技術と米国の医療」と題した講演を通してアメリカにおける医療ITについての情報を得ている.
 なお,アメリカ医師会の次期会長には,ケンタッキー州出身の救急医で同医師会議長のスティーブン・スタック医師が選出された.
 また,会期中に,アメリカ医師会の新社屋の見学会に他の海外招待者と共に参加した.新社屋は旧IBMの四十七階建ての建物で,シカゴの中心部の川辺に位置し“AMA PLAZA”と称されている.アメリカ医師会は,三十九階から四十七階を占有.千百名の役職員が勤務している.

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