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第1279号(平成26年12月20日) |
日医役員が出席した主な外部審議会(十一月十七日〜二十七日開催)の概要を紹介する.
総合診療専門医に懸念を表明
─日本専門医機構社員総会─
(報告・横倉会長)
日本専門医機構社員総会が十一月十七日,都内で開催された.
議事次第は,(一)報告((1)事業報告(2)厚生労働省「難病指定医」),(二)協議((1)役員(監事)の交代(2)社員の入会金・年会費),(三)その他─についてであった.
本専門医機構は五月に設立され半年が経過したが,組織の運営上,バランスや配慮を欠いている面があるとして,当日は,社員から厳しい意見が出された.
各学会から特に要望があったのは,現在は,その領域の代表者である個人が社員となっているので,社員を基本領域の学会そのものに変更して欲しいということであった.
また,本機構の理事会と各学会が意思疎通を密にして欲しいということについても多くの意見が出された.
当日の社員総会についても,事業計画や予算が示されずに開催されたことに対して複数の社員から意見が示され,結局,社員総会は閉会せずに,一カ月後を目途として再開するということで意見が一致した.
総合診療専門医については,医師会として最も注視している点であるが,「かかりつけ医との関係性が明確でないので,このまま育成を進めれば地域医療に大きな混乱が生じかねない」と発言した.
(二)の(1)では,門田守人がん研究会有明病院長の監事からの退任と今村副会長の監事への就任について了承された.(二)の(2)については,継続審議となった.
「経口・経鼻気管挿管の実施」等の特定行為化に改めて反対の意向を表明
─医道審議会保健師助産師看護師分科会 看護師特定行為・研修部会─
(報告・釜萢常任理事)
医道審議会保健師助産師看護師分科会 看護師特定行為・研修部会が十一月二十,二十六の両日,厚生労働省で開催された.
二十日には継続審議となっていた六行為のうち,気管挿管等の四行為について関係学会からヒアリングを行った後,議論が行われ,四行為については継続審議とすることになった.
また,「褥瘡の血流のない壊死組織のシャープデブリードマン」及び「褥瘡・慢性創傷における腐骨除去」の二行為については,「褥瘡・慢性創傷における血流のない壊死組織の除去」として一行為とする修正案が示され,特定行為に含めることが了承された.
二十六日には,前回の部会で継続審議となっていた「胸腔ドレーン抜去」及び「心嚢ドレーン抜去」について,場面の設定を,「手術後の出血等の確認や液体等の貯留を予防するために挿入されている状況」や「患者の病態が長期にわたって管理され安定している状況」に限定した上で特定行為とすることとなった.
また,同じく継続審議となっていた「経口・経鼻気管挿管の実施」及び「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」に関しては,一部の委員から特定行為とすることを強く求める要望が出された他,部会長からも「場面を限定して認めることはできないか」との発言があったが,前回の学会のヒアリングを踏まえて,改めて強く反対する意見を述べた.
その他,当日は,特定行為研修のカリキュラムについて具体的な案が示され,議論を行った.
協議の場の名称は「地域医療構想調整会議」に
─地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会─
(報告・中川副会長)
第四回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会が十一月二十一日,厚労省で開催された.
議事は,(一)都道府県において地域医療構想を策定するプロセス,(二)策定した地域医療構想の達成の推進のための「協議の場」の設置・運営に係る方針,(三)その他─についてであった.
(二)では,「協議の場」の(1)趣旨・目的,名称(2)議事及び開催時期(3)設置区域(4)参加者の範囲・選定,参加の担保(5)合意の方法・履行担保─について議論が行われた.名称は,「地域医療構想調整会議」とすることになった.
議論の中では,「地域住民等に対する協議の透明性の観点から,患者情報や医療機関の経営に関する情報を扱うなど,特段の事情がある場合を除き,会議は公開とする.また,協議の内容・結果については,原則として,周知・広報する」との提案に対して,患者情報や医療機関の経営に関する情報を扱うことがほとんどであるので,原則的に非公開,時には公開という方向性の方がよいのではないかと主張した.
中間まとめはおおむね三師会声明に沿う内容に
─医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会─
(報告・石川常任理事)
第六回医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会が十一月二十一日,厚労省で開催された.
議事は,(一)中間まとめ(案)について,(二)意見交換─であった.
三師会では,十一月十九日に合同記者会見を開催し,「医療等IDに係る法制度整備等に関する三師会声明」を公表(別記事参照)しているが,当日提出された中間まとめ案は,声明におおむね沿う形に修正され,医療等分野でやり取りされる情報の機微性を認めるとともに,医療等分野でのみ使える番号の必要性にも触れられている.
なお,研究会は十二月三日にも開催され,中間まとめは文言の修正を座長一任とすることで了承された.
海からのアプローチにおけるJMATの有効性を再確認
─内閣府 平成26年度民間船舶を活用した医療機能の実証訓練─
(報告・石井常任理事)
平成二十六年度民間船舶を活用した医療機能の実証訓練が十一月二十五日,都内で開催された.
本実証訓練は,大規模・広域災害が発生した場合の災害医療における海からのアプローチについて,有効性や運用に当たっての課題を明らかにすることを目的として行われたものである.
当日は,東京都区部首都直下を震源とする首都直下地震(最大震度七)の発生を想定して行われ,ふ頭に停泊する民間船舶への臨時医療施設の設置を想定し,船内での医療資機材の展開,船への患者搬送(超急性期,急性期),船内での模擬診療などを行うとともに,慢性期ケアや後方移送を含めた各場面について有識者等による点検が行われた.
その後の議論の中では,ホワイトボードに書き込まれた事項が処理済であるにもかかわらずそのままになっていること,また,今回の実証訓練の想定に無理な部分もあることを指摘した.
今回の実証訓練を通じて,海からのアプローチにおいてもJMATが参画する余地は十分にあると感じた.
新型法人自身による病院等の経営などに反対の意見を表明
─医療法人の事業展開等に関する検討会─
(報告・今村(定)常任理事)
第八回医療法人の事業展開等に関する検討会が十一月二十七日,都内で開催された.
新型法人の名称については,厚労省から「地域連携型医療法人」との提案があったが,座長から「医療法人は常に地域と連携しており,新型法人のみに地域連携型とつけるのはおかしいのではないか」との意見が出され,再検討することになった.
参加法人等の範囲については,改めて「医療事業を実施する法人に限る」と主張した他,参加法人等の共通業務や管理業務等の実施について,「参加法人への資金貸付等は,剰余金分配とみなされるようなものには反対」との意見を述べた.また,関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資や新型法人自身による病院等の経営については認めるべきでないこと等を主張した.
座長からは,「新型法人制度は,医療制度に役立つツールであるべきことを踏まえて,取りまとめを行って欲しい」との発言があり,次回に取りまとめ案が提出されることになった.
また,医療法人制度の見直しに関しては,分割制度の大きな目的を質し,厚労省事務局から,「事業譲渡等の場合に必要な煩雑な手続きを避けるためにあり,医療法人の取り得る選択肢の一つとして制度を設ける」との回答があった.
また,制度上の措置を講ずる期限について,厚労省事務局より,「分割制度は年内に決定し,制度構築はその後速やかに行い,新型法人の制度構築は来年度中」との説明があったことから,「年内にまとめてすぐに制度構築するのはあまりに拙速であり,新型法人制度と同時期にすべき」と要請した.
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