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第1295号(平成27年8月20日) |
7月29日
平成27年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査結果について
釜萢常任理事は,本年5月に実施した「平成27年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果を公表した.
本調査は,医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の実態把握を目的として毎年実施しているもので,今年度は352校から回答を得た.
調査結果の概要は以下のとおりとなっている.
【学校養成所数】
今年度募集を行った学校数は,准看護師課程188校,看護師2年課程76校,看護師3年課程68校,助産師課程6校.准看護師課程,看護師2年課程は減少傾向にあり,5年前と比較すると准看護師課程は17校減,看護師2年課程は8校減.看護師3年課程は57校から68校と増加傾向にあるが,全体の学校数は減少している.
【入学状況】
○准看護師課程は,生徒募集を行った学校数は昨年と変わらないが,大規模校等の定員減により,定員は118名減少している.応募者は平成23年度をピークに減少傾向にあり,今年度は約1万8900人と,昨年度から3600人減となり,平均倍率は2・2倍で,昨年度の2・6倍から低下している.
○看護師2年課程は,平成22年度に比べ8校減,定員は534人減となり,初めて看護師3年課程の定員を下回った.平均倍率は1・4倍で,ここ数年は横ばいの状態.
○看護師3年課程は,学校数は年々増加しているが,平成26年度から応募者がやや減少傾向にあり,平均倍率は3・4倍.
○助産師課程は,学校数は6校で増減はなく,平成22年度に比べると応募者が減少傾向にはあるが,平成24年度以降は横ばいで,平均倍率は2・7倍.
【卒業後の進路】
○准看護師課程の場合,進学せずに県内の医療機関で就業した者は約4割.准看護師課程の場合はその性格上進学が多く,今年度の進学は46・9%.進学者のうち半数以上(全体の26・8%)が,医療機関に就業しながらの進学で,全体として,7割以上が就業して地域の医療を支えている.
○看護師2年課程,看護師3年課程は8割以上が県内の就業.全国の卒業状況(平成26年3月)では,全国の2年課程の県内就業率は66・5%,3年課程は77・5%となっていることから,医師会立学校養成所卒業者の県内就業率は高く,地域の看護職員の確保に非常に大きな役割を果たしていると言える.
○助産師課程は,他の課程に比べて県外就業率が28・1%と高いが,養成所が少ないことから,医師会立の助産師養成所は貴重な養成の場となっている.
また,入学者の最終学歴は,准看護師過程は約5割が高校既卒,約3割が高校新卒,大卒・短大卒は減少し16・5%.3年課程は高校新卒の割合が6割以上で,年々増加傾向にある一方,高校既卒や大卒・短大卒は減少傾向にあり,今年度は13・4%であった.
釜萢常任理事は,今回の結果を踏まえ,准看護師課程の定員の減少や来年度以降の募集停止を決めている学校もあること等,依然として准看護師養成所の減少に歯止めがかかっていない現状を憂慮.その上で,「准看護師は地元への定着率が非常に高く,特に中小病院や有床診療所,無床診療所で非常に大きな役割を果たしており,看護職員の確保は,その存続をも左右する切実な問題であり,地域に必要な入院施設がなくなることは地域医療に多大な影響を与えることになる」と指摘するとともに,准看護師が地域の医療を支えてくれているということを改めて国民に向けPRする必要があるとした.
更に,准看護師過程は,社会人等が看護職員になるための教育機関として,非常に重要な役割を果たしていること,また,厳しい経済状況の中でも,准看護師は働きながら資格を取得することができること等,准看護師制度存続の必要性を改めて強調.それとともに,医師会立の養成所では,実習施設や教員の確保,経営面において厳しい状況にあることから,閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれていることにも懸念を示し,これらの問題を改善するため,行政等に対し,補助金の増額や各種規制の柔軟な運用を今後も求めていきたいとした.
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