日本の医療の現状

現在、日本は世界でもトップレベルの平均寿命、
健康寿命を誇る国となり、
これを実現した医療システムは海外からも
高く評価されています。

世界有数の長寿国を実現

日本では公的医療保険などの優れた制度や仕組みによって、国民皆保険が実現する直前の1960年に女性が約70歳、男性が約65歳であった日本人の平均寿命は、大幅に伸び、55年以上経った2017年には女性が87.25歳、男性が81.09歳になりました(図2-1で示した2016年でも女性は87.14歳、男性は80.98歳になっている)。

各国の平均寿命の年次推移(1965~2016年)

図2-1 各国の平均寿命の年次推移(1965~2016年)

世界からの評価

世界有数の長寿国を実現した日本の医療は、世界からも高い評価を受けています。2012年のThe Conference Board of Canada*の資料では、平均寿命のほか、死亡率(若年者、がん、循環器疾患、糖尿病、筋骨格系疾患、精神疾患、乳児、医療事故)などの項目でA評価を受け、総合評価でも17か国中1位を獲得しました(表2-1)。

  カナ
フラ
ンス
ドイ
イタ
リア

イギ
リス
アメ
リカ
平均寿命 B B C A A C D
健康状態の自己評価 A B B B D A A
若年死亡率 A B A A A B D
がんによる死亡率 C B B B A C B
循環器疾患による死亡率 A A D B A C C
呼吸器疾患による死亡率 B A A A C D C
糖尿病による死亡率 C A B C A A C
筋骨格系疾患による死亡率 C C A B A D C
精神疾患による死亡率 B B B A A C C
乳児死亡率 C B B B A C D
医療事故による死亡率 B C C A A B C

(The Conference Board of Canadaが作成した資料を基に作成、2012年2月現在。
URL https://www.conferenceboard.ca/hcp/Details/Health.aspx)

表2-1 世界の医療の評価

日本の医療が評価される理由

また、国民皆保険はWHO(世界保健機関)から、健康の到達度と均一性、費用負担の公正さなどを理由に高い評価を受けています。イギリスの医学誌『THE LANCET』でも2011年、「日本~国民皆保険達成から50年」と題する特集号で、「短期間で世界一の長寿国となり、高い健康水準を実現」、「国民皆保険で公平でアクセスしやすい医療を実現」、「先進国の中では低い医療費でこれらを達成したこと」等を挙げて、高い評価をしています。
そのため日本のこの制度を学び、導入しようとしている国々(セネガル、フィリピン、ベトナムなど)も多くあります。