指導:東京慈恵会医科大学外科教授 青木 照明 |
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私たちの生活はストレスでいっぱいです。なかでも夏の高温多湿は人間の最も苦手な環境のひとつ。ストレスを受けると食欲不振に陥ったり、逆に食べることが緊張や不安をやわらげてくれるため過食に向かうこともあります。いずれも人間の「適応反応」ですが、胃はいっそうの負担を受けることになります。このような胃の不調が原因の1つとなって「頭痛」や「下痢」「便秘」などの「夏ばて」の症状が出てきます。夏ばてを防ぐには胃の動きを知っておくことが重要です。 | ||
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食道から運ばれてきた食物の温度が高すぎたり低すぎたりすると、腸を傷つける場合があります。胃には、食物を体温に近い温度に調節し、次に塩酸やペプシンなどの胃液が食物を殺菌し、蛋白質を消化するなどの働きがあります。どんな固い蛋白質でも溶かしてしまう胃液を分泌させるなどの作用を「攻撃因子」、胃壁の内側にある粘膜と粘液によって胃自身が守られるなどの作用を「防御因子」といいます。この2つの因子のバランスによって胃の健康が保たれているのです。 | ||
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胃の攻撃因子と防御因子の一方が弱くなったり強くなったりすると、胃の不調が現われて夏ばての原因になります。夏の盛りに冷たい飲み物をとりすぎたり、食欲がないからといって刺激の強い香辛料をとりすぎたりして、秋口の胃は疲れています。「胃と上手につき合う 10か条」を守って夏ばてを防ぎましょう。睡眠を十分にとり、食後はひと休みしてはいかがでしょうか。 |
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