指導:杏林大学医学部第二内科教授

   石川 恭三

有害物質も食物から・・・
 体の中に取り込まれる有害・有毒物質のほぼ80%は食物として口から入るといわれています。私たちがいくら注意しても、すべての有害・有毒物質を完全に食品から取り除くことはとうていできません。しかし、食物繊維を十分に摂取していれば、その害毒による影響を軽くすることができます。

水溶性と不溶性の食物繊維
 食物繊維には、こんにゃく、くだもの、海藻などに主に含まれる水溶性のものと、野菜などに多く含まれている不溶性のものとがあります。
 水溶性の食物繊維は、腸内の有害・有毒物質やコレステロールなどを吸着して体外に排出させる働きがあります。
 一方、不溶性の食物繊維は便の量を増やし、便の大腸通過時間を短縮させる働きがあります。このことは発がん物質を含む有害・有毒物質と大腸との接触時間を短くし、大腸がんの予防に役立ちます。

有害な腸内細菌を抑える
 腸内細菌には人体にとって有益なものと有害なものとがあります。脂肪の多い食事を続けると、消化を助ける胆汁がたくさん分泌され、胆汁酸をエサとする腸内細菌が増え、胆汁酸から発がん物質が作り出されます。また、高たんぱく質食では、消化吸収されなかったたんぱく質が腸内細菌のエサになり、発がん性の強い物質(たとえば、トリプトファンというアミノ酸からはインドール)が作られます。
 これに対して、食物繊維を多く含む食物を食べると、発がん物質を作る腸内細菌が抑えられ、体に有益な腸内細菌が優勢になります。食物繊維を積極的にとったほうがよい理由はここにもあるのです。

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