指導:東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科教授
   池田 義雄

元気な人に突然に起こる
 誰でもパニックに陥ることはありますが、それなりの原因は必ずあります。健康な人が、思い当たる理由もなく、ある日突然パニックに陥り、動悸、その他の症状はあるのに、検査をしても格別異常は見つからず、初めてこの発作を経験した人は、「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖感を抱くといわれる病気が「パニック障害」です。

れっきとした病気
 原因としては、脳の「神経伝達物質」の分泌異常などいくつかの説があり、次第に明らかになりつつあります。女性に多く、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類でも認められているれっきとした病気です。

「気のせい」ではありません
 患者さんは「また起こるのではないか」という不安に悩まされます。その一方で、パニック状態がいったんおさまると、本当に病気なのかと、まわりの人も本人も思いがちです。しかし、放っておくと必ず悪化の方向をたどります。
 この病気には精神科や心療内科での治療が必要であり、しかも薬による治療が有効です。「気のせい」とかたづけてはいけません。病気と認定されることが、この病気では治療の第一歩であるといってもよいでしょう。
 周囲にそんな人がいたら、「パニック障害」の適切な治療のために、早めに医師の診察を受けるようすすめてください。

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