指導:川崎市立川崎病院小児科部長
   武内 可尚

インフルエンザと普通のかぜは大違い
 インフルエンザにかかると「かぜをひいたかな」と思っているうちに、ゾクゾクと寒気がしてきて、アッという間に高熱が出てきます。頭痛だけでなくとにかく全身がだるく、関節や筋肉が痛みます。2〜4日で熱は下がりますが、体調がもどるには1週間はかかります。赤ちゃんでは痙攣、子どもでは中耳炎、脳炎、脳症など、お年寄りでは重い肺炎になることも少なくありません。  インフルエンザで脳炎や脳症になったり、あるいは突然死した子どもは毎年 200人以上にものぼります。残念なことに、この中にはインフルエンザワクチン接種をしていた子どもはいませんでした。

ワクチンは「流行ウィルス」にも対応
 インフルエンザウイルスは、毎年少しずつ性質を変えて襲ってきますので、一生のうち何回もかかることになります。しかしワクチンは流行ウイルスの変化も予想して作られていますので、ウイルスが全身にばらまかれるのをかなり防いでくれます。反対にワクチンを接種していなければまったく無防備ということになります。

ワクチン接種が最もよい予防法
 ワクチンに使用するウイルスはWHO(世界保健機関)の意見や、わが国の前年の流行などを参考にして厚生省の専門家会議で決められます。4週間隔で2回受けるのがよいのですが、1回だけでも年内に受けておきましょう。もし2回できず1回だけとしても、接種しない場合に比べ効果は明らかにあります。
 インフルエンザワクチンの副作用はほとんどありませんから、子どもやお年寄りはもちろん、成人もあらかじめワクチンを接種しておくことをおすすめします。


 

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