指導:杏林大学医学部第二内科教授
     石川 恭三

「自分は健康」の効果は
 “病は気から”と昔からいわれていますが、まさにそのとおりです。自分が健康であると思っている人と健康ではないと思っている人とでは、医学的にみてほとんど差がない場合でも、病気にかかって亡くなる率は、自分が健康ではないと思っている人のほうが約2倍も高いといわれています。
 このことは、心の持ち方次第で人の免疫力は大きく変化することを現しています。物事を明るく前向きにとらえる人は、悲観的にとらえる人より病気に対する免疫力が高いということが次第に明らかになってきたのです。

うつ状態は心臓に悪影響
 最近の研究で、うつ状態が心臓血管系疾患、とくに心筋梗塞の発症に深くかかわっていることがわかってきました。うつ状態になると交感神経の緊張が高まり、心拍数や血圧は増加し、不整脈や心筋梗塞がおこりやすくなるのです。この傾向はとくに男性にはっきりとみられます。
 また、うつ状態になると二次的に、酒を飲み過ぎたり、たばこを吸い過ぎたり、運動不足などにもつながり、悪循環のもとになりかねません。

“悩み”も考え方次第
 心筋梗塞は再発率の高い病気ですが、「うつ状態」をひきおこしがちな生活を改善することが予防につながります。私たちが多かれ少なかれ抱えている悩みごとを、明るく、前向きの考えで処理して、“心配の種”にしないことが大切です。「悩みも人生のスパイス」あるいは「悩みごとも給料のうち」と考えてみてはいかがでしょうか。


 

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