指導:日本医科大学産婦人科教授
   
荒木 勤

●尿失禁とは?
 自分の意思とは関係なく、おしっこがもれてしまう状態を「尿失禁」といいます。ふだんは膀胱の興奮を抑える脳からの指令と、尿道のまわりの筋肉(尿道括約筋)の働きによってもれないようになっています。
 尿失禁は、咳やクシャミなどでおなかに力が入ったときにもれる「腹圧性尿失禁」、おしっこをしたくなるとトイレまで間に合わない「切迫性尿失禁」、その2つが混じった「混合性尿失禁」が大半を占めています。身体の構造や妊娠・出産などの点から、尿失禁は女性により多くみられます。

●こんな原因でおこる
 女性の尿失禁の原因としては、尿道括約筋を含む「骨盤底筋群」という筋肉が出産でゆるむこと、肥満や便秘によって骨盤底筋群に負担がかかったり膀胱が圧迫されることなどがあげられます。そのほかに、膀胱炎などほかの病気や薬が原因になって尿失禁がおこることもあります。


●悩むより相談を
 腹圧性尿失禁には骨盤底筋群を強くする運動療法が効果的ですから、医師の指導を受けて行ってください。また便秘や肥満を解消することも有効なので、日常生活で注意するようにしましょう。膀胱の興奮をしずめる薬や、最終的には手術による治療もあります。
 尿失禁は他人には話しづらい病気です。しかし適切な処置できちんと治りますから、ぜひ医師に相談しましょう。

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