指導:前 東京慈恵会医科大学産婦人科教授
   寺島 芳輝

貧血とは赤血球が少なくなること
 貧血とは血液の量が少ないのではなく、血液中の赤血球が少ないことです。赤血球中のヘモグロビンには鉄が含まれているので、鉄が欠乏すると貧血になります。「貧血」の90パーセント以上がこの鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンは全身の組織や臓器に酸素を送る役目をはたしています。そのため貧血になると、顔色が悪くなる、動悸や息切れがする、疲れやすい、めまいがする、頭が重いなどの症状が出てくるのです。

女性に貧血が多いのはなぜ?
 月経が正常であれば貧血になりませんが、若い女性に多い月経過多や、30歳過ぎの女性に多い子宮筋腫などによる出血で貧血になります。そのうえダイエットで偏食や食事制限をすると月経が止まり、出血は少なくなるものの食物からの鉄分補給も減り、いっそう貧血が起こりやすくなります。
 妊娠中には胎児が母体の鉄分を消費し、出産や流産で大量の血液が失われることもあります。母乳にも鉄分が含まれているため、女性には鉄分不足になる条件がそろっています。

治療は薬物療法が有効。しかし、気づかない出血にも注意
 身体の鉄分を補充するには動物性タンパクや植物性タンパクを含む食物がよいのですが、鉄分は吸収が悪いため必要量の10倍をとる必要があります。鉄分を補給するための薬(鉄剤)を投与すると改善するので、実際には薬物療法が行われることがほとんどです。
 しかし、胃潰瘍や痔などによる出血が原因で貧血が起こることもあるので、「女性に貧血はつきもの」とあきらめてしまうのも問題があります。鉄剤を飲んでもなかなか改善しない場合には、一度医師に相談してみましょう。

A4サイズのプリントアウト用レイアウトが必要な場合は、下のボタンでダウンロードして下さい。

406K
1.2M
151K