指導:国立感染症研究所感染症情報センター室長
   岡部 信彦

 海外旅行者がかかる病気でもっとも多いのは下痢で、“旅行者下痢症”と
呼ばれているほどです。その多くは食べ物や飲み物が原因ですが、環境の
変化、疲労や緊張感なども下痢の原因となります。

水には気をつけよう
 昔から旅に出たら「なま水に気をつけろ」といわれますが、今でも変わらない旅行訓です。まず外国では水道の水は飲めなくて当たり前、と考えてください。そしてどこでも「この水は飲めますか?」と確かめる必要があります。ペットボトル入りの飲料水が、今はどこの国でも手に入るので、信用できるメーカーのボトルを常に1本持っているとよいでしょう。また、水と同じように氷にも注意をしてください。

こんな食べ物に注意
 あまり食べ物に注意し過ぎては旅行も楽しくありませんが、もっとも注意すべきは、なま物や調理が不十分なもの、とくに貝類や鶏卵です。いわゆるゲテモノ類はできるだけ食べないほうが無難です。日本では見なれた刺身も外国では要注意。どうしても食べたいときは少量で我慢しておいたほうが安全です。野菜もよく洗ってあるか注意し、不安なら代わりに皮のついたままの新鮮な果物を買い、皮をむいて食べるとよいでしょう。

下痢になってしまったら
 下痢をすると脱水症状を起しやすいので、もし下痢になってしまったら水分を十分にとりましょう。治療用の経口電解質液(ORS)があれば理想的ですが、スポーツ飲料には電解質が適当量含まれているため、とりあえずの脱水症状予防に効果があります。スポーツ飲料の粉末は携帯に便利ですから、持っていくと役に立ちます。

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