指導:神戸大学医学部整形外科教授
   水野 耕作

 事故やスポーツによる打撲などの際に骨折の心配があれば、まずその部分を動
かしてみましょう。動かして痛む場合には骨折の可能性もあります。しかし、ひと
くちに「骨折」と言っても、何歳くらいの人が、どの骨を、どのような形で骨折
      したか、によって治療法は驚くほど違います。

子どもの骨折は治りやすいけど…
 人の骨は年代によって変化します。子どもの骨はまだ軟骨部分が多く、柔らかいのが特徴です。成長段階にあるため修復の能力が高く、それだけ骨折も治りやすい反面、処置が不適切だと変形をひきおこしかねません。
 一方、お年寄りの骨はわずかな力でも折れやすく、安静にしすぎると寝たきりの原因にもなるため特別な注意が必要です。

関節の骨折は複雑
 骨折の治療は場所によっても大きく違います。たとえば肋骨の骨折は、ほとんどの場合、胸に幅広のバンドを巻くなどして固定します。ところが、関節の近くを骨折すると診断も治療もむずかしくなります。関節は、なめらかな動きを可能にするために複雑な構造をもっているからです。治療が適切でないと関節面に“ずれ”ができてしまい、ときとして痛みや運動障害が残ることがあります。

骨折の合併症や後遺症を熟知した専門医で
 骨折したらその部分ばかりでなく全身状態を診察できる専門医を選ぶことが大切です。骨の周囲には血管や神経が存在しているので、血管損傷や末梢神経損傷などの合併症が起こることがあるからです。骨折が治ったあとにこれらの合併症に気づくこともよくあり、そのためにも的確な診断と治療が必要です。骨折を軽視せずにぜひ整形外科医を受診しましょう。


◎日本整形外科学会では 毎月8日(土・日曜日でも実施)の午後1時〜4時に「骨と関節−電話相談室」(無料)を開催しています。お気軽にご利用ください。   電話 03-3816-8768

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