白クマ
日医白クマ通信 No.1030
2008年10月23日(木)


三師会合同記者会見
「三師会合同でレセプトオンライン請求の完全義務化撤廃を要望」

三師会合同記者会見


唐澤人会長は、10月22日、大久保満男日本歯科医師会長、児玉孝日本薬剤師会長らとともに厚生労働省を訪れ、舛添要一厚労大臣に直接、レセプトオンライン請求の完全義務化撤廃を求める共同声明を手渡した。

 今回の共同声明は、7月2日に三師会合同で、レセプトオンライン請求の義務化に関する意見交換会を開催し、各会の対応について協議した結果、「義務化」には反対であることが三師会の共通認識であり、三師会として、何らかのアピールをする必要があるとの合意がなされたことを受けて、まとめられたものである。

 共同声明では、医療におけるITの活用は、本来、医療の質の向上、医療の安全に資するものでなければならないはずであるのに、これらを鑑みることなく、レセプト請求を例外なくオンラインに限定し、医療機関等に新たな投資と負担を強いようとしている国の施策を批判。そのうえで、このままレセプトオンライン請求の完全義務化が進められれば、地域に根ざして医療を担ってきた医療機関等を撤退に追い込み(日医が実施した調査結果では8.6%もの医療機関がこのままでは廃院するしかないと回答)、地域医療崩壊に拍車をかけることは明らかであるとして、三師会の会長連名により、「レセプトオンライン請求の完全義務化を撤廃すること」「レセプトオンライン請求は医療機関等の自主性に委ねること」の2点を求めている。

 共同声明を三師会の会長から受け取った舛添大臣は、「代行請求も考えているが、もっと良い方法がないか検討していきたい。いずれにしても、地域医療が崩壊することのないようきめ細かな対応をしていくつもりでいるので、協力して欲しい」と述べた。

 大村秀章厚労副大臣、尾辻秀久自民党参議院会長にも共同声明を提出した後、厚労省で記者会見を行った唐澤会長は、医療分野のIT化に対して反対しているわけではないことを改めて説明したうえで、今回の国の政策を、「本来目指すべき医療の質の向上や安全に資するためにITを上手に活用するものではない」と批判。今回の共同声明は、「本来あるべき医療分野の情報化の姿を取り戻し、廃院・廃業による地域医療の崩壊から国民・患者を守るために行った」と述べた。

 大久保日歯会長は、「特に、古くから地域医療を支えてきた先生たちには、新しいオンラインシステムに対応することは難しいと思われる。われわれは、この問題を地域医療の崩壊を招きかねない切実な問題ととらえており、国にはぜひとも完全義務化を撤廃して欲しい」と訴えた。

 児玉日薬会長は、「地域医療に貢献してきた先生方に、強制的に負担を強いることは問題である。この問題は地域医療を崩壊させかねず、そのことは結局、国民が迷惑を被ることになるわけであり、認めるわけにはいかない」と完全義務化に反対の姿勢を示した。

 共同声明は、同日、都道府県医師会長宛に送付されたほか、その全文は日医ホームページに掲載したので、参照されたい。

 なお、当日の共同声明の手交には、日医から藤原淳・中川俊男両常任理事、日歯から近藤勝洪副会長・村上恵一専務理事、日薬から山本信夫副会長・岩月進専務理事も同席した。

◆問い合わせ先: 日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)

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