白クマ
日医白クマ通信 No.1064
2008年12月5日(金)


定例記者会見
「医師確保のための実態調査」の最終結果を公表
―内田常任理事

内田常任理事


 内田健夫常任理事は、12月3日の定例記者会見で、「医師確保のための実態調査(調査基準日:10月1日)」の集計結果について公表した(本調査の中間速報は、既に11月12日定例記者会見で公表)。

 本調査は、「都道府県医師会調査:有効回答数47(有効回答率100%)」と「病院調査:有効回答数2,668(有効回答率48.2%)」とで構成されている。

 同常任理事は、それぞれの調査項目ごとに集計結果を詳細に報告し、最後に、「まとめ」として、以下の各点を説明した。

 「都道府県医師会調査」では、(1)病院医師が不足している(42都道府県医師会、回答のあった335二次医療圏中281二次医療圏)、(2)診療所医師が不足している(18都道府県医師会、同129二次医療圏)、(3)都道府県単位では、病院医師も診療所医師も不足していると考えている都道府県医師会が41医師会中18、二次医療圏が312二次医療圏中126と最多であった。(4)医師の偏在があると回答したのは、47医師会中36都道府県(76.6%)、335二次医療圏中219二次医療圏(65.4%)であった。(5)診療科目別では、都道府県、二次医療圏ともに、産科・産婦人科、小児科、救急医療、麻酔科で、特に医師が不足と考えている。

 また、医師確保対策としては、「県域を越えた連携」「医師派遣システムの構築」「地域の病院等への医師供給を要請」などが、医師不足・偏在解消の効果があると考えている。同常任理事は、「これらの対策は、取り組んでいる都道府県は少ないが、将来的には、医師不足・偏在解消の効果が大きいと考えられるので、全国に広がっていけば良い」との考えを示した。

 「病院調査」では、新医師臨床研修制度導入前のおおむね5年前との比較や、日医の地域ブロック別での比較も試みている。

 医師数の増減としては、(1)病院全体で5年前と比較して、医師数が減少した病院の割合は39.6%、(2)診療科別では、産科・産婦人科と内科、(3)地域別では、東北地区と中国四国地区―での減少割合が特に大きい。

 供給医師数の増減としては、(1)病院全体で5年前と比較して、大学・公的病院等からの供給医師数が減少した病院の割合は52.3%、(2)診療科別では、内科と産科・産婦人科、(3)地域別では、中国四国地区、東北地区と中部地区―での減少割合が特に大きい。

 医師不足によって起きた問題としては、(1)外来の閉鎖・休止・縮小が最多(18.3%)、(2)診療科別では、内科は外来の閉鎖・休止・縮小、産科・産婦人科は病棟閉鎖・病床縮小、小児科は夜間救急対応の休止―などが多かった(ただし、絶対数)。

 また、(1)病院長が医師不足を感じている病院の割合は71.5%であり、(2)診療科別では救急医療(83.8%)、産科・産婦人科(72.1%)、内科(68.7%)、麻酔科(66.9%)、(3)地域別では東北地区、中国四国地区と中部地区―での割合が特に大きい。

 また、病院長が考える最低必要医師数を現状と比較した「最低必要医師数倍率[必要医師数÷(常勤医師数+非常勤医師の常勤換算数)]」は、病院全体では1.10倍で、全病院従事医師数で考えると、現時点で約1万7千人不足していることになる。(1)診療科別では、内科を除くすべての科目で、最低必要医師数倍率は1倍超である(現医師数には研修医数が含まれるため、研修期間の長い内科では低く出た可能性がある)、(2)開設主体別では、医師会病院が1.32倍と大きく、国、個人、都道府県・市町村は1.10倍超と高い、(3)地域別では、中国四国地区、中部地区、九州地区、東北地区で倍率が高くなっている。

 新医師臨床研修制度施行後の変化としては、(1)指導医の負担が増加した病院が76.8%、(2)病院経営上の負担が増加した病院が68.0%であり、(3)大学病院では、初期研修医数といわゆる後期研修医数がそれぞれ減少した病院が多かった。

 最後に、今後について、同常任理事は、「本調査を踏まえて、具体的に必要な対策を日医の提言として取りまとめ、『グランドデザイン2008』で発表し、行政等各方面へもアピールしていきたい」とした。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)

◇定例記者会見資料はこちらから
 ⇒ http://www.med.or.jp/teireikaiken/


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.