白クマ
日医白クマ通信 No.1077
2009年1月8日(木)


定例記者会見
「規制改革会議第3次答申に対する日医の見解」
―中川常任理事

中川常任理事


 規制改革会議が、昨年12月22日に、「規制改革推進のための第3次答申」を取りまとめたことを受けて、中川俊男常任理事は1月7日の定例記者会見で、日医の見解を明らかにした。

 同常任理事は、第3次答申の中で、医療について、「消費者の自由を拡大し、『質の医療』を実現するため、官が国民を管理しようとする規制の撤廃を訴えていく」とし、混合診療禁止措置の撤廃をその代表例としてあげていることに対して、「患者=消費者という概念は到底受け入れられるものではない」とし、「患者を『消費者』と扱うことにより、医療提供者が『生産者』と位置づけられ、市場原理の導入という発想につながる。このような考えは大変な間違いで、根本的な発想の転換をしてもらいたい」と苦言を呈した。

 さらに、以下の3点について日医の見解を述べた。

 1.混合診療全面解禁の問題点は、「(1)保険外診療と保険を併用し、問題が生じた場合、患者の不利益、公的保険の信頼性の損失となる。(2)「混合診療」により、新たな医療技術等を保険に組み入れようとするインセンティブが働きにくくなり、公的保険の給付範囲が縮小する恐れがある。(3)混合診療では、従来「全額自己負担」であったものが、「保険診療の一部負担+保険外診療の自己負担」になる。このことは一見患者負担が減少するように見えるが、保険給付範囲が狭まった場合、保険外部分は自己負担となり、所得の少ない国民にとっては負担増となる」と改めて問題点を指摘した。

 2.DRG−PPSの対象拡大についての問題点は、DPC病院では、治癒率が低下し、再入院率が上昇するという傾向や、現場の医師の実感として「医療サービスの質が低下した」が「向上した」を上回るという調査結果もある。日医は、DPC、出来高払いを採用する急性期病院、それぞれについて「適切に評価していくべきである」としてきた。今後も、「DPC病院における医療の質の変化について、適切に検証していくべきである」と強く訴えた。

 3.ナースプラクティショナー(NP)導入の問題点について、「責任の所在を明確にしないままに、医師不足に名を借りて役割分担だけを先行させるべきではない」と強く批判した。そして、医師や医療従事者の資格制度は、「医療の安全、すなわち患者の生命・健康を守るためにあり、その業務は現行法制度のもとに行われるべきである」との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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