白クマ
日医白クマ通信 No.1111
2009年3月12日(木)


定例記者会見
「日本経済新聞のレセプト完全電子化に関する社説に対し反論」

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、3月11日の定例記者会見で、日本経済新聞の3月9日付社説「レセプト完全電子化を後退させるな」に対する、日医の反論を述べた。

 冒頭同常任理事は、日本医師会がレセプトオンライン請求完全義務化撤廃を求めている理由は「国が一方的に診療報酬請求をオンラインに限定することを強いれば、医療現場の混乱を生み、国民により良い医療を提供する環境が奪われ、地域医療の崩壊がさらに進むことを懸念するため」と強調。今回の社説は「事実誤認に基づく内容であるだけでなく、全国各地で真摯に地域医療を支えている医師や医療関係者と患者との信頼関係を揺るがすものであり、断じて容認できない」とし、日本経済新聞社に対して猛省を促した。

 引き続き、社説の記載に対する論点ごとに主に次のように反論を展開した。

 社説が、三師会が完全義務化に反対していることを「電子化を忌避するための言い訳ではないか」としていることに対し、これ以上医療崩壊を加速させてはならないという切実な危機感からの完全義務化反対であり、『言い訳』と歪められたことはきわめて遺憾とコメント。

 さらに、完全電子化が「請求事務の効率化や人件費の圧縮を通じ、国民医療費の増大を抑えるのに役立つ」との記載には、効率化や人件費の圧縮は保険者のコスト削減、利益にはつながるが、医療の質や安全性の向上は担保されないとし、今日の医療崩壊は行き過ぎた医療費抑制の結果であり、この期に及んでもなお、地域住民、患者を追い込むのかと憤りを示した。

 続いて、社説が医療の標準化を肯定的に捉えていることに対し、標準化によって医師の裁量権が失われ、さらに患者の特性に応じた医療が制限されるおそれがあり、患者の立場に立っても問題は多いと指摘した。

 次に、電子化により診療報酬請求の過程がガラス張りになり「過大請求や不正請求があった場合は即座に見抜けるようになる」という記載に対し、審査支払機関での審査後、各保険者で審査が行われる流れは、現行でもオンラインでも変わりはないとし、あたかも現在、過大請求や不正請求が横行しているように捉えられかねず、断じて容認できないと強く主張した。

 最後に、社説が電子化に対する現在の状況を「小泉構造改革の負の側面だとレッテルを張り、世論の共感を得ようという思惑も見え隠れする」としていることに対しては、今日の地域医療の崩壊はまさに小泉構造改革の負の側面であり、国民、患者の不安、苦しみを増大させないためにも、日本医師会は小泉改革の負の側面を徹底的に排除していく、と主張し会見を結んだ。

 同常任理事は、日医はレセプトオンライン請求の完全義務化に反対しており、あくまでも「手挙げ方式」を主張していることを強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課・総合医療政策課
        TEL:03-3946-2121(代)

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