白クマ
日医白クマ通信 No.1145
2009年6月5日(金)


定例記者会見
ナースプラクティショナー(NP)の導入に対する日医の見解
―中川常任理事

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、6月3日の記者会見で、「ナースプラクティショナー(NP)の導入」について、日医の見解を述べた。

 同常任理事は、「専門性を高めた新しい職種(慢性的な疾患・軽度な疾患については、看護師が処置・処方・投薬ができる、いわゆるNPなど)の導入について、各医療機関等の要望や実態等を踏まえ、その必要性を含め検討する」とした「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」が3月に閣議決定されるまでの経緯を説明したうえで、「日医はNPの導入に反対である」との意見を改めて主張。その理由として、以下の3つの視点から問題点を指摘した。

(1)国民皆保険の視点から
 NPの導入がもっとも進んでいるアメリカでは、民間保険が中心であり、公的保険は、メディケア、メディケイドのみで、無保険者も15.3%に達している。そのような状況において、コストの低いNPへのニーズがあると考えられるが、国民皆保険の日本では、国民の多くが所得の高低にかかわらず同じ質の医療を受けられることを望んでいる。

(2)医療の質の視点から
 診察や診療は人体に侵襲を及ぼす行為であり、また軽微な症状や症状が安定した時期であっても、常に、急変し重症化したり、全身状態に影響を及ぼしたりするリスクを抱えている。したがって、診察、治療、処方などは、高度な医学的判断及び技術を担保する資格の保有者によるものでなければ、患者にとって不幸な結果をもたらすだけでなく、生命をも脅かすことになりかねない。

(3)業務分担の視点から
 保助看法に定められた看護師による「診療の補助」は、その内容までが規定されているわけではない。その内容は、医師の指示によって、また医療の普遍化、高度化に応じて変化するものであるから、業務分担の拡大については、現行の医師法、保助看法で十分対応できる。日医としても医療現場における実際の業務を把握したうえで、保助看法の現行法の下、実情に即した業務分担の在り方を検討したい。

 そのうえで、同常任理事は、現在取り組むべき最優先課題は、NPの導入ではなく、医療の本質である安全と質の確保をしたうえでの医師不足の解消であるとし、日医としてもその解決に向けて努力していくとの考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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