白クマ
日医白クマ通信 No.1204
2009年11月20日(金)


定例記者会見
行政刷新会議の「事業仕分け」について ―中川常任理事

 中川俊男常任理事は、11月18日の定例記者会見で、行政刷新会議の「事業仕分け」に対する日医の見解を公表した。

 まず、厚生労働省関係の「事業仕分け」を行っているワーキンググループ(以下WG)のメンバーに、医療関係者、患者代表が入っていないことを指摘したうえで、特に、「事業仕分け」で取り上げられた診療報酬の配分(勤務医対策等)が「見直し」と評価されたことについて見解を述べた。

 同常任理事は、民主党マニフェストでは、診療報酬の「増額」を掲げており、厚生労働大臣から「全体的な引き上げが必要」との発言があったにもかかわらず、WGでは財務省主導で財政中立の下での配分の見直しが求められており、政権公約が実現されるのか疑問視せざるを得ないと批判した。そして、「WGの結論とマニフェストと合致していない。鳩山総理に、あらためてマニフェストの重み、同会議の運営方針について説明を求めたい」とした。

 さらに、財務省より提示された資料についても言及。病院勤務医と開業医の給与の比較については、「経営者である開業医には経営責任がある。病院においても、経営者である病院長と勤務医とでは給与水準は異なっている」としたうえで、「むしろ、他の職種等と比べて病院勤務医の給与が低いことが問題である」と強調した。また、「比較的リスクや勤務時間が少ないと見られる診療科を中心に医師数が増えている」と結論付けていることについて、「社会的背景や患者ニーズをまったく考慮していない」と批判した。病院勤務医は勤務医の63.9%としている数字についても、「正しくは87.1%である。単純ミスであると思われるが、病院勤務医の減少を過度に見せるものであり、問題だ」と指摘。「財務省主導でデータが不適切に使用されている。まるで結論を誘導するための資料である」と警戒感を示した。

 そのうえで、2010年度の予算編成では現場の意見を反映し、政治主導で、政権公約にあるように診療報酬の増額を実現してほしいと主張した。

 同常任理事は、WGが、市販類似市販類似薬を保険外とすると結論付けたことの問題点にも触れ、日本医療政策機構の調査によると、低所得者層の16%が「(費用がかかるという理由で)薬を処方してもらわなかったことがある」と答えているとして、「短期的には患者の受診抑制を進めてしまう。将来的には、混合診療の解禁を招きかねない」と懸念を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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