白クマ
日医白クマ通信 No.1233
2010年1月22日(金)


定例記者会見「労災・自賠責委員会答申について」
―石井常任理事

定例記者会見


 石井正三常任理事は、労災・自賠責委員会が2年間の審議を経て取りまとめられた答申を1月21日の定例記者会見で報告した。本答申は、唐澤人会長からの諮問「労災保険、自賠責保険をめぐる今日のあり方」を受けて、1月13日に藤川謙二委員長(佐賀県医師会常任理事)から唐澤会長に提出されたものである。

 同常任理事は、答申の目次に沿って概略を報告した。

 まず、「医療現場又は審査会等における労災診療費算定基準の問題点」では、労災保険の診療報酬は、健康保険の診療報酬体系に準拠した取扱いになっているが、制度の目的や特色・財源等の違いから、労災独自の診療報酬体系の構築が必要であると継続的に審議されてきた。しかし、現在の経済情勢等を勘案すると早期に実現することは困難であり、現実的な対応策を考えると、健康保険診療報酬体系の中で労災診療に適さない部分は、労災特掲項目を活用して、実質的には労災独自の診療報酬としていくことが大切であるとしている。

 次に、「労災かくし」と言われる問題では、医療提供側の考え、改善策等を提言している。

 「労災認定および後遺症認定に係る適正な運用」について、我が国における高齢者労働力人口の増加という労働環境の変化が、今後一層進むと予想され、加齢に伴う基礎疾患を抱える労働者が増えると考えられる。そういった方々が労働災害に遭った場合、基礎疾患との関係など労災保険適用範囲に係る基本的な考え方を整理するとともに、現場の医師の参考となるガイドラインの必要性等について提言している。さらに、現行の認定基準等級も医療現場に即した形で見直してはどうかという提案が盛り込まれている。

 さらに、「労災レセプトに係る審査会等に関する調査(アンケート結果概要)」では、各都道府県の運営状況について調査し、その結果概要を報告。

 自賠責保険に関して、「1.最近の自賠責保険の問題点」、「2.今後の日本医師会の自賠責保険への対応」では、交通事故診療に係る医療費の支払いに関する問題を中心に整理し、その中で、昨今の報道や政府の審議会等で問題視されている「医療類似行為」に関して、医療現場から報告されている問題事例を取り上げ、ガイドライン作成や関係省庁・関係団体への働きかけ、今後の対応策について取りまとめている。

 交通事故診療で健康保険や労災保険が使用されるケースについて、財源の適正使用という観点から、各保険者の損害保険会社への求償状況について調査し、その結果を報告している。

 最後に同常任理事は、「この答申はホームページに掲載すると同時に、都道府県医師会へ送付するので広く活用いただきたい」との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)
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