白クマ
日医白クマ通信 No.1245
2010年2月10日(水)


緊急記者会見
「再診料の公益裁定にむけての日本医師会の主張」
―中川常任理事

定例記者会見


 中川俊男常任理事は、2月9日の緊急記者会見で、8日の中医協総会における再診料の議論の結論が得られず、公益委員の裁定に持ち込まれたことを受けて、日本医師会は、診療所の再診料の引き下げに断固反対するという姿勢を改めて強調した。

 同日の中医協では、厚生労働省が、外来プラス財源は400億円であり、新たに評価される(引き上げる)項目分の650億円から、適正化される(引き下げる)項目分の400億円を差し引くと、すでに250億円の財源が使われていると説明。議論では、残りは150億円であるが、再診料を71点に統一するために必要とされる220億円には70億円不足している上、外来管理加算の5分要件の撤廃にともなう財源も必要であるとの指摘があった。また一部では、再診料を68〜69点で統一するとの報道もあった。

 これを受けて、同常任理事は「日医は診療所の再診料引き下げに断固反対である。再診料の統一は、病院の点数を引き上げることで対応すべきだ」と主張。

 その理由として、第一に、評価項目で650億円が必要であるとしているが、その中身が明らかにされていない。これをもって財源が限られているという理屈は受け入れ難いことを挙げた。

 第二に、本来、最優先で議論すべき再診料を、他の項目を検討した後、残りの財源で手当てするという今回の方法は、診療所再診料引き下げありきの議論だと指摘した。

 第三に、前回の診療報酬改定においては、診療所から病院へ400億円強の財源移譲が行われており、今回、診療所の生命線である再診料がマイナス改定になれば、地域の診療所が大きな打撃を受けることは必至である。これまで診療所は、学校医、産業医、予防接種、特定検診、保健指導など、地域医療や行政への貢献を果たしてきており、こうした取り組みを続けるためにも再診料引き下げによって診療所の経営体力、意欲を削ぐことがあってはならないとした。

 第四に、評価予定項目が、再診料の評価より重要性や緊急性が高いのか、明確な優先順位付けが行われていないことを問題視した。

 同常任理事は、「今回の改定で再診料統一に一気に決着をつけようとしているが、『事業仕分け』からの流れに押し切られたと断じざるを得ない」として、再診料を段階的に統一していくことを改めて提案した。そして、地域医療再生のためには、病院、診療所双方の全体的な底上げが必要であるとし、「公益委員においては、いつでも、どこでも安心して医療を受けられる社会を取り戻すべく、地域住民、患者の立場に立った裁定をお願いしたい」と要請した。

 一方、公益裁定に至るまでの経緯について触れ、「財務省主導で財政中立の下、病院と診療所、勤務医と開業医の対立構造に持ち込まれた。中医協では、診療側が一致団結して対立構造を超越した提言を行ってきたが、再診料について着地点を見出すことが出来なかったことは、これまで中医協委員を担ってきた立場として、非常にもどかしい思いである」と述べた。

 また、外来管理加算5分要件の撤廃は、新政権である民主党の公約であり、財源が限られているという不透明な制約に振り回されることなく、撤廃すべきだと強く訴えた。

 質疑応答では、診療所の再診料を引き下げたうえで、夜間や休日の加算を設ける方向であるとの報道があったことについて、「本末転倒だ」と切り捨て、再診料を引き下げることなく加算を設けるべきだとした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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