白クマ
日医白クマ通信 No.125
2005年5月25日(水)


千葉県市川市医師会 小児生活習慣病検診における取り組み

 生活環境の変化により、将来生活習慣病となる小児の増加が危惧され、小児期における生活習慣病予防が重要と考えられています。今後の小学生の生活習慣病予防対策を検討するため、市川市医師会では平成13年度より東京女子医科大学第二病院小児科、千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学教室および市川市教育委員会と協力して、市川市内3小学校の全学年(平成13年度:1,283名、平成14年度:934名、平成15年度:530名)を対象に生活習慣病予防検診を実施しました。

 高脂血症あるいは肥満度20%以上に該当するもの18%を二次検診の対象としました。二次検診では健康教育として専門医師による生活習慣病についての講演と栄養士および小児科医師による個人・集団指導を行いました。

 さらに、生活指導の有効性を検証するため、二次検診対象者のうち未受診者(生活指導未の学童)と受診者(生活指導済みの学童)における翌年の一次検診での肥満度、総コレステロール等を比較したところ、有意な差が見られ、生活指導の有効性が確認できました。

 その経験をもとに平成17年度以降では市川市の事業として市川市内全公立小学校5年生および全公立中学校1年生を対象に、市川市医師会の指導により生活習慣病検診を行い、養護教員が中心となって、検診対象者の生活指導を行う予定としています。そのため、検診までに養護教員の生活習慣病に対する教育を市川市医師会、東京女子医科大学第二病院小児科が協力して行うこととなっています。

文責:小林靖幸市川市医師会理事
問い合わせ先:小林靖幸市川市医師会理事
e-mail:samoa98c@peach.ocn.ne.jp


千葉県市川市医師会 障害者差別をなくすためのタウンミーティング

 市川市医師会は、地域医療活動の一つの柱として障害者支援を行っています。これは、障害者が日常的な医療を受ける際、様々な困難や課題があることがアンケートにより明らかになり、これについて「市川手をつなぐ親の会」と医師会で意見交換のために医療懇談会を開催したことから始まりました。また、市川市医師会は、市内の知的障害や重症心身障害者の通所施設等を見学し「地域における医療と福祉の相互理解と連携を目指す」という明確な活動方針を打ち出し、障害者医療セミナーの開催、障害当事者によるタウンミーティング等に参加することになりました。

 この度、市内2回目の「障害者差別をなくすためのタウンミーティング」が和洋女子大学で開催されましたが、その中で市川市医師会の土橋会長は「市川手をつなぐ親の会」と共同で作成した医療機関を受診する際の「説明カード」の紹介とその効果についての報告をしました。このカードは、自閉症や知的障害をもつ人たちがコミュニケーションを十分に取ることが苦手なことから、診療に際して問題になることや必要な情報を、医療関係者に事前に理解してもらうためのツールとなり、障害者や医師とってより良い医療環境を構築できる、きっかけになっています。

 以下に要旨を記載します。

◆障害者差別をなくすためのタウンミーティング◆

 平成17年2月20日、障害者差別をなくすためのタウンミーティングが、障害者差別禁止条例の制定をめざす千葉県と民間福祉諸団体の主催で、「千葉県がすすめる障害者を差別しない、排除しないまちづくり」をテーマに開催された。当日は小雪の舞う寒い日曜日であったが、会場の和洋女子大学西館には500人以上の参加者がつめかけた。

 開会の言葉に続き、障害者差別分野の一人者で、ご自身も車いす当事者である東俊裕弁護士による基調講演「なぜ差別禁止法が必要なのか」が行われた。日本には障害者の人権を守る法律はない。法的に社会の中での差別を防ぐ仕組みを作らなければ、いくら福祉サービスを充実しても障害者の人権を守ることはできない。障害者差別には、(1)障害を理由に他の人と違う扱いをする、(2)実質的な平等を確保するには一定の配慮が必要だがその配慮をしない。という2つのパターンがある。しかし、少数者の問題であるために誰もが理解・経験できる訳ではなく、自然に解るものでもない。どこまでが許されどこからが差別なのか、何が求められる配慮なのかの物差しが必要である。その物差しが障害者差別禁止法であり、万人の個性に応じた社会作りの基礎となるという話であった。

 引き続き、パネルディスカッション「障害者差別をなくすために」が行われた。パネラーは東弁護士と堂本暁子千葉県知事、コーディネーターは障害者差別をなくすための研究会の野沢和弘氏であった。

 その後、障害者自身の体験や支援団体の実践事例の紹介があり、市川市医師会からは土橋会長が「医療でのコミュニケーションギャップを解消するための取り組み」と題して、障害者医療に対する医師会の取り組みや、手をつなぐ親の会と共同で作成した障害者が医療機関を受診する際、情報を事前提供するための「説明カード」を紹介した。

文責:土橋正彦市川市医師会長
問い合わせ先:市川市医師会 TEL:047-326-3971


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.