白クマ
日医白クマ通信 No.1286
2010年6月10日(木)


定例記者会見
「医療給付費の適正化に対する日医の見解」
―鈴木邦彦常任理事

定例記者会見


 鈴木邦彦常任理事は、6月9日の定例記者会見で、5月31日厚生労働省の行政事業レビューで取り上げられた「医療給付費の適正化」は、医療の内容を問うものではなく、指導・監査の強化による医療給付費の削減が目指されているとして、そのために、厳しく、ときには理不尽な指導が行なわれ、医療現場ではさまざまな弊害と混乱が生じていることを指摘。あやまった指導が是正されることを強く求めると共に、地域医療を守り再生させるという原点に立ち返るべきであると主張した。

 同常任理事は、現在の指導・監査の問題点として「各厚生局、あるいは厚生局内の各地域において、指導の取り扱いに差異がある」とし、「指導については、長い歴史の中で、都道府県医師会と社会保険事務局の協力の下、地域の実情に合った円滑な取組みがなされてきたが、これまでの経緯を考慮せず、地方厚生(支)局単位で、性急に1つの枠にはめようとすることで、現場に混乱が生じている」と述べた。そして、「指導医療官によって指導内容が異なる事例が少なくない。理不尽な指導もあり、指導後に保険医が自殺にいたった事例もある」とし、さらに、「集団的個別指導の対象は、レセプト1件当たりの平均点数が高額である医療機関である。しかし、これでは、患者にとって真に必要であっても、高額な薬剤を使用すれば指導の対象になってしまうという矛盾がある」と指摘した。

 最後に、同常任理事は有識者のコメントに対して、日医は現実に不正を行なっている医療機関には厳しく対応する。指導は教育的見地から実施されるべきであり、指導を行なった件数を、あたかもノルマのように、厚労省の数値目標とすることは論外である。日本の医療を守るため、医師を精神的に追い込むような手法をとるべきではない。ITの活用によるわかりやすい基準の下で教育が行なわれることには賛成であるとの見解を示した。

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