白クマ
日医白クマ通信 No.1296
2010年6月28日(月)


定例記者会見
「規制・制度改革に関する分科会 第一次報告書」に対する日医の見解 ―介護関係―
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は6月23日の定例記者会見で、15日に行政刷新会議において了承された「規制・制度改革に関する分科会 第一次報告書」(以下、報告書)における介護関係への対処方針に関する以下の5つの点に対する日医の見解を説明した。

 (1) 医行為の範囲の明確化(介護職による痰の吸引、胃ろう処置の解禁等)について、医療安全が確保されるような、一定の条件下で特別養護老人ホームの介護職員に実施が許容された医行為を、広く介護施設等において、一定の知識・技術を修得した介護職員への解禁、また、介護職員が実施可能な行為の拡大についても検討するとしていることに対しては、「法的に整理を行った上で、“『医行為』ではない”と明確に示される行為について、必要な研修を受け、認められた介護職員が行うことには、問題はない」とする一方で、「法的に認められた医療職種以外の者が『医行為』を実施することは容認出来ない」と強調した。

 また、(2) 特別養護老人ホームへの民間参入拡大(運営主体規制の見直し)について、「特別養護老人ホームへの社会福祉法人と同程度の公益性および事業の安定性・継続性を持つ法人の参入を可能とする方向で検討を進める」としていることに対しては、「特別養護老人ホームは重度要介護者の生活の場であり、高い質や安全性の担保、および経営の安定性等、一定の基準が求められることから、平成19年12月の厚生連参入時に議論された営利を目的としない医療法人等の参入については賛成であるが、営利法人にまで広げることは容認出来ない」とし、改めて、営利法人の参入に対し、反対の意を示した。

 (3) 介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃については、「第5期介護保険事業計画(平成24〜26年度)から、各都道府県が地域の実情に応じて策定可能とする」としていることについては、参酌標準を示していかなければならないのは確かであるが、保険料の上昇抑制のみを指標とする参酌標準ではなく、地域特性等の実情を詳細に把握した参酌標準にすることを求めた。

 (4) 訪問介護サービスにおける人員・設備に関する基準の緩和(サービス提供責任者の配置基準)については、常識的に考えて、サービスの質を担保するうえでも、サービス提供責任者の配置は必要であると発言。さらに、(5)高齢者用パーソナルモビリティの公道での使用に関して、「国内メーカーの開発動向、利用者のニーズ等を踏まえ、また、特区での実証実験結果を検証しつつ、対応の要否について検討を開始する」としていることに対しては、「制度位置づけの整理、高齢者の安全が確保されていれば、特に問題はない」との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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