白クマ
日医白クマ通信 No.1415
2011年4月11日(月)


岡山県医師会
「医療と産業〜医療の産業化は許されるのか〜」

 岡山県医師会では、3月に県医師会報第1300号記念特集号を発行いたしました。その中で、井戸俊夫会長が「医療と産業〜医療の産業化は許されるのか〜」と題して論文を公表しております。

 多くの方にご覧いただければと思い、要旨を紹介いたします。ご興味を持たれましたら、下記問い合わせ先までご連絡いただければ幸いです。

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◇医療と産業〜医療の産業化は許されるのか〜
 岡山県医師会長/井戸 俊夫

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◇要旨
 医療を営利産業と捉えて経済活性化の起爆剤にしようとする動きが喧しい。「新成長戦略」は、市場原理主義に向けた混合診療解禁、受ける医療の格差拡大であり、さらに医療給付への公的資金投入の縮小にも繋がる。高度医療が自費診療として認められると、一部の富裕層のみが恩恵を受け、堅持すべき国民皆保険制度が崩壊に導かれることになる。そして「医療の産業化」を収益増大と見る政・官・民はこぞって「医療ツーリズム」を支持するが、極めて非現実的な政策と言わざるを得ない。未だに地域医療が疲弊したままで、崩壊した救急医療の再建・充実こそが急務で、医療、介護、年金などの社会保障の議論やその取組みには一刻の猶予もない状況にある。

 経産省の医療産業研究会報告書を読み解くと、「混合診療」を「保険外併用療法拡大」に、「医療ツーリズム」を「国際医療交流」に置き換えて批判をかわし、経済効果などの不利な予測は敢えて避け、乗り遅れてはならないと主張するのみである。公的医療費の抑制と自費診療の拡大から国民皆保険制度が危険に晒されれば、わが国の医療崩壊はさらに助長される。「医療の産業化」「医療ツーリズム」は絶対に容認できない。

(『岡山県医師会報第1300号記念特集号(平成23年3月発行)』に掲載された文章を本誌掲載用に編集しました)

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◆問い合わせ先:岡山県医師会 情報広報課 広報班 TEL:086-272-3225


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