白クマ
日医白クマ通信 No.1483
2011年11月22日(火)


医療に関する懇談会
「受診時定額負担、TPP参加等に反対していくことで一致」

医療に関する懇談会


 「医療に関する懇談会―日本医師会・全国医学部長病院長会議―」が11月15日、日医会館で開催された。

 本懇談会は、以前に開催していた「大学病院の医療に関する懇談会」から名称を変更したものであり、今回が名称変更後初の開催となった。

 懇談会は、三上裕司常任理事の司会で開会。冒頭、原中勝征会長は、「医師不足・医師偏在等の問題が顕在化してきているが、今後も先生方と相談しながら、その問題の解決に努め、日本の優れた医療提供体制を維持していきたいと考えているので、本日はよろしくお願いしたい」とあいさつした。

 協議では、(1)TPP、(2) 受診時定額負担、(3) 医師養成、(4)特定看護師(仮称)、(5) DPC制度―等について議論が行われた。

 (1)では、中川俊男副会長がTPPを巡る直近の動きを、また、(2)では、鈴木邦彦常任理事が、高額療養費の見直しのための財源を患者に求めることの問題点をそれぞれ説明し、反対運動への協力を要請。これに対して、大学病院側からは、日医と同様の問題意識が示され、今後は情報交換を行いながら、両者が協力してこの問題に反対していくことで一致した。

 (3)に関しては、中川副会長が「医師養成についての日本医師会の提案(第2版)」を基に、医師偏在解消に向けた日医の考えを説明。研修医に大学に根差してもらうことを目指しているとした。大学病院側からは、医学部教育の見直しに関しては意見が一致しているとして、日医の提案に賛成する意向が示された他、大学に登録してもらうことのインセンティブのつけ方が今後の課題といった指摘も出された。

 (4)では、羽生田俊副会長が、医療の安全という意味からも、保助看法を改正してまでの特定看護師(仮称)の創設に強く反対していることを説明。原中会長も「一部の希望を受け入れて、安易に認めてしまえば、日本の地域医療は崩壊する」として理解を求めた。これに対して、森山寛全国医学部長病院長会議会長からは、個人的な意見としながらも「看護職員制度の根幹に関わる問題であり、反対したい」との考えが示された。

 また、この問題に関連して、大学病院側からは、看護大学のカリキュラム等を問題視する意見も出された。

 (5)については、DPC評価分科会長である小山信彌東邦大教授が、分科会における調整係数の見直し後の医療機関別係数に係る医療機関群の設定に関する議論の内容を報告。11月7日に開催された会議では、鈴木常任理事の中医協での発言を受けて、当初大学病院以外の高診療密度病院群(仮称)の要件としていた「医師密度」は外すこととしたと説明した。これに対して、中川副会長は、「実績要件に医師研修機能が入っており、修正前と変わっていない。これでは研修医の争奪戦が起こりかねない」として、強く反対する考えを示した。

 その他、当日は、大学病院側から、医学部教育の質の担保のために創設を目指している「医学教育機関認証制度」や医療の高度化に対応していくため、日本外科学会が作成した「臨床医学の教育研究における死体解剖のガイドライン(案)」についての説明が、また、オブザーバーとして参加した厚生労働省からは、臨床研究の推進方策についての説明が、それぞれ行われた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代)


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